2004 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊帯溶融法による新規固体レーザ材料希土類添加バナジン酸ルテチウム単結晶の育成
Project/Area Number |
15550169
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
樋口 幹雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40198990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 智之 北海道大学, 理化学研究所・固体光学デバイス研究ユニット, ユニットリーダー (90261164)
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Keywords | 浮遊帯溶融法 / バナジン酸ルテチウム / 単結晶 / 固体レーザ / 希土類添加 / 半導体レーザ励起 |
Research Abstract |
ネオジムをドープしたバナジン酸ルテチウム(Nd:LuVO_4)は、吸収および発光断面積がともに従来の希土類バナジン酸塩よりも大きく、新規な半導体レーザ励起固体レーザ材料しての応用が期待されている。また、Nd以外でも、TmやYbなどのための母結晶として、Lu^<3+>のイオン半径がこれらのイオンの半径に近いことからLuVO_4は結晶育成が容易になることが予想される。本研究では、各種希土類イオン(Nd、Tm、Yb)を添加したLnVO_4単結晶を浮遊帯溶融法により再現性よく育成する技術を確立し、それらのレーザ材料としての基本的な光学特性を明らかにすることを目的とした。 各ドーパントの濃度をLuに対して0.5-5at%とし、20-40mm/hの溶融帯移動速度、30-40rpmの結晶回転数で[110]方位へ酸素気流中で育成をおこなった。ドーパント量にかかわらず、いずれの結晶も薄褐色の着色がみられた。育成速度を速くすることにより、着色量は軽減されたが、完全に排除することはできなかった。しかしながら、これらの結晶を1000℃で20時間、空気中で熱処理することによって、着色のない状態にすることができた。偏光顕微鏡観察の結果、抱有物や小傾角粒界などの巨視的欠陥はまったく検出されなかったが、Ndドープ結晶においてのみ成長縞が観察され、濃度の増大とともに顕著となった。EPMA測定の結果、Nd、Tm、Ybの偏析係数は、それぞれ、約0.5、1、1であった。これまでに、TmおよびYbドープ結晶では5at%まで、Ndドープ結晶については1at%までの濃度で、口径5mm、長さ50mmの良質な単結晶を再現性よく育成する技術は確立できた。 Nd:LuVO_4の吸収係数は他の希土類バナジン酸塩を母結晶とした場合に比べて1.4倍ほど大きく、880nmのレーザ光で励起した場合、スロープ効率:73%、しきい値:7mWときわめて良好なレーザ発振特性を示した。一方、TmおよびYbドープ結晶のレーザ発振実験は現在進行中であるが、吸収および蛍光スペクトルは、これまでにレーザ発振の実績のある結晶と同等かそれ以上の特性を示していることから、これらについても良好なレーザ発振特性が期待される。
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