2003 Fiscal Year Annual Research Report
高分子半導体/無機半導体のナノ界面形成とETA型太陽電池を目指した光電子物性研究
Project/Area Number |
15550179
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (40182901)
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Keywords | ナノ界面 / 光電子物性 / 高分子半導体 / ETA型太陽電池 / 酸化チタン / p-n接合 / 整流性 |
Research Abstract |
本研究では,高分子半導体/光吸収体(色素)/無機半導体ナノ粒子薄膜系におけるナノ界面の光電子物性を明らかにし,高変換効率を有するETA(Extremely Thin Absorber)型固体太陽電池の実現を目指す。ETA型太陽電池では,非常に大きな実効表面積を有するETA層において光励起が起こり,それによって生じた電子・ホールがp-n接合ナノ界面の拡散電位によって再結合が抑えられ,効果的な電荷分離が行われる必要がある。今年度は,透明電極上に形成したナノサイズ酸化チタン焼成膜上に,種々金属や高分子半導体の薄膜を形成し,それらナノ接合界面の光電子物性を明らかにすることを目的とした実験を行った。TiO_2/Auのショットキー接触型ナノ界面においては,光導電性における顕著な雰囲気の影響が現れ,真空度に相関した光導電性の増加が観察された。これには,非常に大きな実効表面積を有するナノ界面での電子・ホールのトラップにおける酸素の影響が考えられる。TiO_2と高分子半導体であるpoly(3,-ethylenedioxythiophene)(PEDOT)とのP-n接合ナノ界面においては,顕著な整流性とPEDOTからTiO_2へのキャリア注入によるAu/TiO_2接合界面に比べて大きな順方向電流が観測された。色素としてルテニウムN3 dyeを用いた光電特性の観測においては,TiO_2/dye/Au構造のセルに比べてTiO_2/dye/PEDOT/Au構造のセルは3桁以上大きな光電流を示した。この結果は,TiO_2/PEDOTのP-n接合ナノ界面の拡散電位によって,光誘起電荷分離過程が促進されることを示している。
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