2004 Fiscal Year Annual Research Report
高分子半導体/無機半導体のナノ界面形成とETA型太陽電池を目指した光電子物性研究
Project/Area Number |
15550179
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (40182901)
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Keywords | ナノ界面 / 光電子物性 / 高分子半導体 / ETA型太陽電池 / 酸化チタン / p-n接合 / ラマンスペクトル / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
無機半導体ナノ粒子の形成する界面は,バルク半導体材料とは異なり,多孔質・大面積であり,TiO_2系に代表されるような湿式色素増感太陽電池への応用が展開されている。ナノポーラスTiO_2系有機太陽電池の実用化においては全固体化が課題となっており,その一つとしてETA(Extremely Thin Absorber)型太陽電池が検討されている。これは,TiO_2とp型半導体の形成するp-n接合ナノ界面に吸着した色素分子の光誘起電荷分離を利用するものである。このようなヘテロ接合ナノ界面型の光電変換素子の特性には,種々の界面の特性が複雑に影響を与えており,それら界面の特性の解明が不可欠である。本研究では,ナノポーラス酸化チタン/高分子半導体ヘテロ接合からなる2層型素子の光電変換特性についての検討を行った。高分子半導体としてはポリチオフェンやポリシラン系を用い,光電変換特性の測定は,周期的な光照射下での電流-電圧特性を測定するフォトボルタンメトリーによって行った。素子の光電変換特性においては顕著な測定時の雰囲気の影響が観測され,その原因を明らかにするために,光照射下でのセルの吸収スペクトルのin situ測定を行った。その結果から,真空下での開回路電圧の低下は,光照射後に空間電荷層に残存するトラップされたキャリアによる拡散電位の低下に起因することが示唆された。このようなナノ界面でのキャリアトラップの機構を化学構造的な見地から明らかにするため,酸化チタンの種々クラスターモデルに対する分子軌道計算を行い,その電子状態を検討した。また,ラマンスペクトルの測定から,ナノポーラス酸化チタン表面の化学構造を明らかにした。さらに,高分子半導体のナノ界面への吸着構造は光電変換特性に顕著な影響を及ぼすことから,発光分光法によるナノ細孔構造に吸着した高分子半導体鎖の光電子物性についての検討を行った。
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