2003 Fiscal Year Annual Research Report
重合したままの高分子重合体粉末の超延伸:環境に優しい省エネルギープロセス
Project/Area Number |
15550188
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
金元 哲夫 東京理科大学, 理学部, 教授 (30084320)
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Keywords | ポリテトラフルオロエチレン / 重合体粉末 / 二段超延伸 / ヤング率 / 高次構造 |
Research Abstract |
我々が提案した超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)の重合体粉末の二段延伸法(固相共押出、次いで引張延伸)はゲル延伸法のように溶媒を必要としない点で、より安全で環境に優しい、省エネルギープロセスである。初年度は、科学研究費の申請時に行った提案のとおり、二段目の引張延伸装置を設計し、組み立てた。この装置の特徴は、試料の局部を急速に加熱し、この部分を高速(1-20mm/min)で引張り延伸することができる装置である。 いかに述べるように、この装置を用いてPTFE重合体粉末の超延伸を行うことに成功した。エマルジョン重合によって得られたPTFE重合体粉末を融点以下の325℃で加圧成形し、厚さ約0.3mmのパウダーフィルムを得た。このフィルムは脆く、直接引張り延伸することは出来なかったが、固相共押出法により融点直下で押出延伸比(EDR)6-12に延伸すると配向したフィブリル構造に転移し、高い延性を示した。そこで、まず、固相共押出法によりパウダーフィルムをEDR=12に押出し、次いで本研究で作製し延伸機を用いて共押出物を広範な温度(280-500℃)で引張り延伸した。その結果、PTFEの融解温度(335℃)よりも10-100℃高い温度で延伸すると200-500倍の超延伸が可能であった。このような超延伸物は高い分子配向(f_c=0.997)を示し、結晶化度も80-88%と高い値を示した。力学物性の詳細は現在検討中であるが、24℃におけるヤング率が122GPaに達する超延伸物も得られ様になった。今後は、PTFE超延伸物の力学物性を詳細に検討すると共に、超延伸物の構造を検討する予定である。さらに、この装置を用いて、UHMW-PEや,一般には低延性であるとされるポリー1-ブテンやポリエチレンテレフタレートなどの超延伸も試みる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kanamoto et al.: "Preparation of Oriented β-Form Poly(L-lactic acid) by Solid-State Coextrusion : Effect of Extrusion Variables"Macromolecules. 30. 3601-3605 (2003)
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[Publications] T.Kanamoto et al.: "Biodegradable Ultra-High Strength Poly(L-lactic acid) Rods fro Bone Fixation"Macromol.Sympo.. 197. 355-368 (2003)
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[Publications] T.Kanamoto et al.: "Effect of Annealing on the Morphology and Properties of Poly(vunylidene fluoride) β-Form Films"J.Polym.Sci., Polym.Phys.Ed.. 41. 1701-1712 (2003)
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[Publications] 金元哲夫, 他4人: "ナイロン6/変性ブチルゴム系ブレンドの分散状態と引張特性"高分子論文集. 60. 475-481 (2003)
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[Publications] 金元哲夫, 他3人: "高分子料ナイロン6の静的融解温度以上における延伸挙動"高分子論文集. 60. 636-643 (2003)
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[Publications] T.Kanamoto: "Dynamic Mechanical Relaxations in Poly(acrylonitrile) with Different Stereoregularities"Macromolecules. 31(In press).