2004 Fiscal Year Annual Research Report
速度可変シャッターを用いた軟X線多層膜の精密膜厚分布制御と非球面形状創成への応用
Project/Area Number |
15560016
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
羽多野 忠 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90302223)
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Keywords | 多層膜 / 膜厚分布制御 / 速度可変シャッター / イオンビームスパッタリング / イオン銃 / 凹面鏡 / 直入射分光反射率 |
Research Abstract |
曲率半径50mmと276mmの凹面基板にそれぞれ波長13nm用の精密Mo/Si多層膜凹面鏡を作製することを本年度の目標とした。多層膜の精密制御において致命的である多層膜作製用イオンビームスパッタリング装置の不安定性を軽減するために、動作不安定要因を探る作業に多くの時間を費やした。イオン銃出口のビーム引出し電極とビームシャッターに設けた電極でそれぞれイオン流総量、およびイオン流密度をモニタリングしながら室温を変え、室温とイオン流の間に強い相関を見出した。また、室温を一定にしてイオン銃の温度だけを変えてもイオン流に有意な変化がないことがわかり、温度変化によってイオン流に変動を与える箇所が、ガスの配管か、電源の回路か、あるいは他の場所か、特定するには到っていない。実験室の配電盤の電圧を同時にモニタリングして3%程度の変動を観測し、イオン流の変動との間に強い相関を見出した。将来的に交流安定化電源を導入すれば大きく改善できる見込みができた。 一方、独自に開発して利用している膜厚分布制御用速度可変シャッターについて、成膜所要時間を最短化する速度関数の計算方法を導出するとともに、シャッター形状を再検討して制御可能領域を拡張した。曲率半径50mmと276mmのMo/Si多層膜凹面鏡を作製し、高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設で軟X線直入射分光反射率測定により周期長分布を評価した。 多層膜凹面鏡を用いた軟X線結像光学系の製作・評価技術について、7月にケアンズで開催された第14回真空紫外放射物理学国際会議で成果発表した。多層膜の膜厚分布制御法について第18回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムで招待講演した。精密多層膜作製技術について年度末の第52回応用物理学関係連合講演会のシンポジウムで成果発表する。
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Research Products
(1 results)