2004 Fiscal Year Annual Research Report
戻り光ファイバレーザの非線形ダイナミクスとその応用
Project/Area Number |
15560027
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
今井 洋 茨城大学, 工学部, 教授 (20151665)
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Keywords | 非線形ダイナミクス / エルビウムドープファイバレーザ / カオス同期 / カオス秘匿通信 / カオスセンシング |
Research Abstract |
戻り光ファイバレーザの基本構成光学系である光ファイバリング共振器において、まず、スレーブ・スレーブ型同期システムの二つの光ファイバリング共振器カオス間のカオス同期に及ぼす入力光のコヒーレンス(スペクトル幅)の影響について明らかにした。入力光コヒーレンスが低下すると二つのカオス間の同期特性は良くなる。しかし、入力光コヒーレンスの低下に伴って各々の光ファイバリング共振器で生じるカオス出力の変動幅が減少し、やがて収束状態となる。従って、ある程度以上の入力光コヒーレンスの低下はカオス出力自身を消滅させるため、カオス同期の達成のためには高い入力光コヒーレンスが必要とされる。特に、光ファイバリング共振器のカオス同期では二つのリング共振器の共振器長などパラメータ差に対して、位相差2πを周期として周期的カオス同期を示すことを明らかにしているが、この周期的カオス同期の変動幅もまた、入力光コヒーレンスの低下に伴いた縮小することがわかった。 エルビウムドープファイバレーザにおいて、戻り光の増加に伴い出力ダイナミクスの領域図が全体的に低励起光パワー側にシフトする現象を見出した。また、エルビウムドープファイバレーザを用いたマスタースレーブ型及びスレーブ・スレーブ型同期システムにおける戻り光の大きさとシステムパラメータが同期特性に及ぼす影響を理論的に明らかにした。エルビウムドープファイバレーザにおいて戻り光があるとより低い励起光パワーでカオスが発生するので、より低い励起光パワーでカオス同期が実現できる。また、カオス発生励起光パワーが低いところの低い入力光パワーの方がより良いカオス同期特性を与えることを明らかにした。さらに二つのカオス同期システムにおいて、変調率の違いよりも戻り率の違いの方がカオス同期特性に大きな影響を与えることを明らかにした。 このような、カオスダイナミクスおよびカオス同期特性を利用した、光ファイバの非線形屈折率測定法、温度および圧力センシングを提案した。さらに、これらのカオスセンシングに及ぼす入力光コヒーレンスの影響を明らかにした。
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Research Products
(4 results)