2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560076
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中垣 通彦 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (90207720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 知義 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (40229224)
松本 龍介 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (80363414)
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Keywords | 人工心臓 / 知能複合材料 / 粒子分散材料 / Self-consistent / 人工筋肉 / マイクロ・アクチュエーター / ピエゾ弾性材料 / ひずみ増幅 |
Research Abstract |
本研究では、生体内で代替えまたは補助的な血液搬送を行う駆動型人工動脈の創成の可能性を追求する事を目的として開発研究を始めた。従来の人工心臓における問題点は、異質材料が血液に直接接触する事や、モーターを動力源としたその機構から発生する非親和性や血栓の問題にある。本開発では、生体心臓に近い形態を持ち、しかも血液および周囲組織との親和性を持つ事が可能な人工的駆動動脈システムを提案している。 従来、当研究グループでは人工筋肉材料研究のメゾ材料機構に関する研究を進めてきた。この研究の成果より、マイクロ・アクチュエーターを柔軟体に任意に分散または配列して複合体とする、極めて自由度の高い動作が可能な人工筋肉を構築する事の可能性を明らかにした。本研究では「駆動型人工動脈」に重要な動的機能を効果的に発現させる特殊な知能複合材料のメゾ構造について検討し、それを用いた駆動システムの挙動性能を解析した。その結果、アクチュエーター材料として一般に用いられるピエゾ弾性素子の使用を考えた。しかしこれが発生するひずみは小さく、筋肉として作動させるに十分なひずみを生じさせる事ができない。そこでひずみ増幅機構として、ピエゾ素子と弾性金属板を組み合わせたユニモルフ型またはピエゾ同士のバイモルフ型の螺旋構造体素子を考案した。これを用いる事により、30〜40%ものひずみを発生させることが出来るマイクロ・アクチュエーター素子の実現が可能となる。 今回、当研究者らが開発してきた粒子分散複合材料のマクロ構成モデルである、SCC-LRM粒子分散構成則モデルを用いて、上述のユニモルフ・螺旋アクチュエーター素子を分散した人工筋肉体を用いた人工動脈システムを2次元的に形成し、有限要素法による予備的な計算解析を実施した。その結果、1ストロークにおいて、人の心臓の血液排出量に見合うだけの流量が見込めることが分かった。この人工動脈の形態は従来のポンプ排出型ではなく、一般に動物の心臓がとる脈動収縮型であるので、より生体のシステムに近く、血栓の発生の可能性が低い利点があるものと期待がもてる。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] Huajian CHANG, Michihiko NAKAGAKI: "Particle Interface Imperfection Modeling for composite"Proc.International Conference of Computational and Experimental Engineering Science. CD Version. 6 (2003)
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[Publications] 正山祐一, 中垣通彦: "ボイド分散モデルを用いた骨内部における空隙の形状の検討"日本機械学会九州支部第56期総会講演論文集. 038-1. 265-266 (2003)
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[Publications] 磯部哲, 内藤和之, 中垣通彦: "数値等価介在物法NEIMによる粒子等価の検討"日本機械学会九州支部第56期総会講演論文集. 038-1. 271-272 (2003)
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[Publications] 常華建, 中路慶弘, 中垣通彦: "完全/不完全界面状態にある介在物をもつ複合材料モデル"日本機械学会九州支部第56期総会講演論文集. 038-1. 273-274 (2003)
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[Publications] 春日悠, 中垣通彦: "熱衝撃を受ける傾斜機能材料の動的き裂進展解析"日本機械学会材料力学部門講演会MM03論文集. 03-11. 83-84 (2003)
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[Publications] 中路慶弘, 常華建, 中垣通彦: "界面スプリングを配した介在物粒子のメゾ損傷モデル"日本機械学会材料力学部門講演会MM2002論文集. 03-11. 567-568 (2003)
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[Publications] 篠原三和, 中垣通彦: "繊維強化された損傷・相変体複合材料のモデルと材料挙動"日本機械学会材料力学部門講演会MM03論文集. 03-11. 569-570 (2003)
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[Publications] 内藤和之, 中垣通彦: "数値等価介在物法による複合体の内部挙動解析"日本機械学会材料力学部門講演会MM03論文集. 03-11. 983-984 (2003)
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[Publications] 内藤和之, 中垣通彦: "数値等価介在物法を餅田粒子界面モデル"日本機械学会第16回計算力学講演会論文集. 03--26. 775-776 (2003)
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[Publications] 中路慶弘, 中垣通彦, 常華建, 松本龍介: "粒子界面すべりとはく離損傷を有する複合材料モデル"日本機械学会第16回計算力学講演会論文集. 03--26. 777-778 (2003)
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[Publications] 高島修二, 松本龍介, 中垣通彦: "高延性を呈する金属多結晶材料の微視的減少と解析モデル"日本機械学会九州支部第57期講演会論文集. 048--1. 59-60 (2004)
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[Publications] 篠原三和, 松本龍介, 中垣通彦: "塑性基繊維強化材料に対するLRM(局所剛性)モデルの分布則の検討"日本機械学会九州支部第57期講演会論文集. 048--1. 91-92 (2004)
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[Publications] 内藤和之, 松本龍介, 中垣通彦: "複合体の介在相界面を考慮した数値等価介在物法による内部挙動解析"日本機械学会九州支部第57期講演会論文集. 048--1. 93-94 (2004)
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[Publications] 鶴田和照, 松本龍介, 中垣通彦: "均質化理論に基づく繊維分散材料の解析"日本機械学会九州支部第57期講演会論文集. 048--1. 95-96 (2004)
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[Publications] 中路慶弘, 松本龍介: "界面スプリングによるすべりとはく離を有する複合材モデル"日本機械学会九州支部第57期講演会論文集. 048--1. 97-98 (2004)
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[Publications] 春日悠, 松本龍介, 中垣通彦: "熱衝撃による傾斜機能材料中の動的き裂進展解析"日本機械学会九州支部第57期講演会論文集. 048--1. 111-112 (2004)
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[Publications] 正山祐一, 松本龍介, 中垣通彦: "骨内部メカニズムをマルチ・スケールモデルにより最適化した骨構造の解析"日本機械学会九州支部第57期講演会論文集. 048--1. 383-384 (2004)
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[Publications] 松本龍介, 中垣通彦, 中谷彰宏, 北川浩: "分子動力学シミュレーションによるアモルファス金属中の結晶化を伴うき裂進展挙動の解析"日本機械学会九州支部第57期講演会論文集. 048--1. 113-114 (2004)