Research Abstract |
本年度は,MESモデルによる性能検証と改善策の検討を行った. 構築したMESモデルは,設備管理を担う生産系システム,搬送管理を担う搬送系システム,製造仕様管理,工程管理,スケジュール管理,製造指示管理を担う管理系システムからなる.管理系システムは,必要に応じて状況対応型スケジューリングを実施する役割を持ち,システム全体を統括するホストコンピュータによって行われる.当初,事前スケジュールとのズレが生じるたびに再スケジューリングを行う動的スケジューリング法を適用して実験を行ったところ,頻繁に無駄な再スケジューリングが行われた.そこで,状況に応じて再スケジューリングをするかどうかの状況判断を行うこととした.ここでの状況判断は,時間的ズレの判断,未到着ジョブ待ちの判断,スケジュール修正実行可能性判断の3段階の意思決定によって行われる.時間的ズレの判断では,事前スケジュールと現状との時間的ズレを判断する.未到着ジョブ待ちの判断では,未到着のジョブに対して待つかどうか優先規則を用いて判断する.スケジュール修正実行可能性判断では,事前スケジュールの性能を保ちつつ,スケジュールの修正が可能かどうかを判断し,無駄な再スケジューリングを防ぐ.また,再スケジューリングは,時間帯に対する固定によって現行のスケジュールの処理順序を一定期間分固定し,実績階報や進捗情報をスケジューラに取り込むことで,それ以降のスケジューリングを実施する方法をとる.提案する状況判断アルゴリズムおよび状況対応型スケジューリング方法の有効性を示すため,処理時間変動,特急ジョブ追加の2通りの環境の変化の問題に対するスケジューリング実験を構築したMESモデルを用いて行い,検討した動的スケジューリング法の有効性を確認した.
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