2004 Fiscal Year Annual Research Report
炭窒化チタンタングステンを被膜とするPVDコーテッド工具の開発
Project/Area Number |
15560110
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
和田 任弘 独立行政法人国立高等専門学校機構 奈良工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10141912)
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Keywords | (Ti,W)N膜 / 工具摩耗 / 切削 / SUS310S / 焼結鋼 / 焼入れ焼結鋼 / PVDコーティング / 密着強度 |
Research Abstract |
本研究では、チタン系セラミックスにタングステンを添加した新しいタイプの炭窒化チタンタングステン(Ti,W)(C,N)膜に着目し、(Ti,W)(C,N)膜におけるTiとWの成分割合、およびCとNの成分割合が工具摩耗を及ぼす影響を調べることによって、耐凝着性・耐アブレシブ性、いずれにも優れた(Ti,W)(C,N)膜を開発することを目的とする。そこで、この目的を達成するために、平成15年度では、(Ti,W)(C,N)膜においてTi75atm%とW25atm%の成分割合を持つ合金ターゲットを使用し、超硬合金K10種を母材とし、PVDコーティング法によって(Ti0.75,W0.25)(C,N)膜を形成させ、これらの試作PVDコーテッド超硬工具でクロム鋼SCr420Hを切削し、市販のTiN、(Ti,Al)Nコーテッド超硬の工具摩耗と比較を行った結果、バイアス電圧-150Vの(Ti,W)K膜が、市販のTiN、(Ti,Al)N膜の比べ、耐摩耗性に優れていることが分かった。そこで、平成16年度では、SCr420H以外の被削材の切削においても、(Ti,W)Nコーテッド超硬が適した工具材種かどうかを明らかにするために、被削材としてステンレス鋼SUS310S、焼結鋼、および焼入れ焼結鋼を使用した。そして、これらの被削材の切削を、(Ti,W)Nコーテッド超硬工具で行った。その結果、SUS310Sの切削においては、バイアス電圧-300Vの(Ti,W)N膜が、耐摩耗性に優れていた。しかし、焼結鋼、および焼入れ焼結鋼の切削においては、SCr420Hの切削と同様、バイアス電圧-150Vの(Ti,W)N膜が、耐摩耗性に優れていた。これらのことから、被削材の種類によって、最適なバイアス電圧を選定する必要があることが明らかになった。
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