2004 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質含油軸受における運転時間に伴う含油率低減に関する解析モデルの構築
Project/Area Number |
15560114
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
金子 覚 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (90161174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 裕生 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (20334691)
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Keywords | 表面張力 / 気液界面 / 移動境界面 / 飽和度 / 毛管圧力 / ガラス焼結体 |
Research Abstract |
多孔質含油軸受は,一般に軸受内部に含浸した油のみでの潤滑が期待されるため,外部からの給油なしで使用されることが多い.したがって運転時間が経過するにつれて外部に油が漏れ,含油量が低下する.これはしばしば摩擦係数の増加や軸受しゅう動面の温度上昇をまねき,さらには焼付きの原因となる.そのため,含油率(軸受内部の空孔にしめる油の飽和度)は軸受寿命を決定する要因となる.本研究は運転時間に伴う多孔質軸受内部の含油率の減損を理論的に予測できる解析モデルを構築することを目的として行われている. 以下に本年度行った研究成果をまとめる. (1)昨年度の研究成果より長時間にわたって軸受内部から油が流出するためには,軸受すきま内の気液界面の表面張力を考慮に入れた解析が必要であることが判明した.そこで,スライダー軸受すきま内の液膜について運転時間とすきま内の液体の飽和度(気液界面の移動)の関係を,気液界面の表面張力を考慮して,数値計算により求めた.その結果,表面張力によりすきま内に液体が保持されやすくなり,すきま内から液体が流出するために要する時間は表面張力を考慮しない場合より増加することが明らかになった. (2)多孔質焼結軸受をガラスの小球を用いて製作した(ガラス球:直径0.5〜075mm,焼結温度725℃,保持時間1時間).製作したガラス焼結体の透過率および空孔率を測定し,さらに焼結体内に含まれる液体の飽和度と毛管圧力との関係を実験的に調べた.その結果,透過率は1.934×10^<-11>m^2,空孔率は15.5%であった.また毛管圧力は飽和度が1.0から0.95に減少するにつれて0から1.0kPaに急激に増加し,飽和度が0.95〜0.32の範囲では1.0kPa〜1.2kPaでほぼ一定の値を示した.これは,従来のガラス小球を密に充填した多孔質体(焼結していない)を用いて得られた飽和度と毛管圧力の関係と定性的に一致している.なお,飽和度0.32以下では孔の大きさの不均一性により径の大きな孔から液体が優先的に流出してしまい,毛管圧力の測定が不可能となった.今後は焼結条件を変更してより均一な大きさの孔を有する焼結体を製作するとともに,さらに直径の小さいガラス球を用いた揚合の飽和度と毛管圧力との関係を調べる必要がある.
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