2003 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザ支援微細表面構造制御DLC膜のナノスケール低摩擦発現に関する研究
Project/Area Number |
15560115
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
本田 知己 福井大学, 工学部・機械工学科, 助教授 (80251982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90158006)
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Keywords | ナノトライボロジー / DLC膜 / フェムト秒レーザ / ナノテキスチャリング / 低摩擦 / 原子間力顕微鏡 / 凝着力 / 接触角 |
Research Abstract |
ナノ・マイクロトライボロジーの分野において,「耐摩耗性と摩擦力の極小化」の両特性を併せ持つ機能性表面の創成とそのメカニズムの解明が求められている.本研究では,フェムト秒レーザを用いることで,超微細加工が困難なDLC膜の表面にナノスケールで制御された規則的なテキスチャリングを施すとともに,試験条件や試験雰囲気の最適化を図ることで無潤滑条件下での摩擦係数0.02以下の低摩擦を発現させることを目的としている. 平成15年度は,フェムト秒レーザによる微細表面構造制御DLC膜の試作と申請設備である原子間力顕微鏡(AFM)用雰囲気制御チャンバーを用いて,環境制御下での凝着力の測定を行った。主な結果を以下に示す. (1)できるだけマクロパーティクルが少なく,平滑かつ高靭性DLC膜を成膜するための条件を確立し,その成膜条件を制御して機械的特性の異なる数種類のDLC膜を製作した. (2)成膜した高靭性DLC膜に対して,フェムト秒レーザによる表面処理を行うことにより,微細に表面構造を制御したDLC膜を製作した.表面構造の異なるDLC膜を製作するための照射条件も確立した. (3)現有設備である超微小硬さ試験機とスクラッチ試験機によるDLC膜の機械的特性を測定するとともに,スクラッチ試験時の摩耗痕からそれらの破壊形態と破壊メカニズムについて考察した. (4)申請設備である原子間力顕微鏡(AFM)用雰囲気制御チャンバーを用いて,真空中や相対湿度を変化させた大気中での凝着力の測定を行い,微細表面構造の有無と凝着力との関係について調べた.特に,探針の曲率半径が異なるガラス球探針を使用し,凝着力の変化について詳細に検討した.その結果,通常のSiN探針を用いた場合,表面構造制御DLC膜の凝着力が小さくなることがわかった.また,ガラス球探針を用いた場合,表面構造制御DLC膜のフォースカーブが安定して測定できた.
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