2004 Fiscal Year Annual Research Report
差動ボールねじを用いたミリストローク超精密位置決め機構に関する研究
Project/Area Number |
15560116
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
深田 茂生 信州大学, 工学部, 教授 (70156743)
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Keywords | 精密位置決め / ボールねじ / 差動ねじ / 差動機構 / ミリストローク / リード誤差 |
Research Abstract |
本研究では,最大1mm程度のストローク("ミリストローク")に対してナノメートルレベルの分解能を持つ位置決め機構を,差動ボールねじを用いた簡便な機構により実現することを目的としている.昨年度は,差動ボールねじの位置決め性能を検討するためにプロトタイプの実験装置を構成して予備実験を行った結果,直動転がり案内の摩擦の影響による精度低下が認められ,機構の構成を再検討する必要があることが判明した.そこで本年度は,必要な設計変更を行って実験装置を再構成し,差動ボールねじの位置決め性能に関する実験を行った. ねじ軸外径16mm,基準リードが2.00mmと1.95mm(相対リード差0.05mm)の差動ボールねじを,定格出力100WのDCサーボモータにより駆動する.モータの他端側には,分解能360万パルス/回転のロータリエンコーダが取り付けられている.またプロトタイプで問題となったねじ軸の振れ回りによる誤差を吸収するためフローティングユニットを取付け,案内の摩擦力を低減させるためにV-平形状による転がり案内とした. その結果,ステージの送り誤差測定において,ねじ軸の1回転に同期した送り誤差を除去することができた。また累積代表送り誤差は0.9μmであり,変動は0.5μm以内であることを確認した.ステージの微視的挙動では,変位の実測値と理論値でほぼ同様の結果を得ることができた.また微動領域の変位-トルクの関係において正勾配の非線形ばね特性を実現することができた。従って,差動ボールねじの効果を発揮できる装置の構成を確立できたと言える.さらに本機構によって,ロータリエンコーダを用いた半閉ループ制御系によりナノメートルレベルの位置決め分解能をミリストロークにわたって実現できる見通しが得られた.ただし,位置決め精度はサブミクロンレベルに留まっており,適切な補正法を今後さらに検討する必要がある.
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