2004 Fiscal Year Annual Research Report
くさび形状付き油溝を設けたクロスヘッドピン軸受の負荷能力に関する研究
Project/Area Number |
15560119
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北原 辰巳 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (50234266)
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Keywords | 内燃機関 / クロスヘッドピン軸 / トライボロジー / 潤滑 / 異常診断 |
Research Abstract |
大形2サイクルディーゼル機関のクロスヘッドピン軸受は常に下向きの高い荷重を受けながら低速で揺動運動を行うため,軸受面に形成される油膜が極めて薄く焼損や破損を起こしやすい軸受であり,損傷発生を防止する方策について検討することは重要である.本研究では実際機関のクロスヘッドピン軸受と同様な変動荷重,揺動すべりの条件で焼付き試験が実施できる軸受試験機を用いて,軸受最高面圧18MPa一定の条件で十分ななじみ運転を実施した後,潤滑油の供給を停止して焼付きが発生するまでの軸受表面温度,油膜形成状態,並びに軸受振動状態の変化を調べ,潤滑状態の異常予知診断法について検討した.軸受表面温度および振動加速度(実行値)に関しては,それらの値が急増した直後に焼付きが発生した.すなわち表面温度および振動加速度(実効値)の急増から潤滑状態の異常性を検知して焼付き発生を防止することは困難であることがわかった.一方,油膜の電気抵抗を計測し求めた油膜形成率の値は,軸受面に軽度な固体接触が発生した場合でも大幅に減少するため,油膜形成率の変化から苛酷な固体接触の度合いを評価して焼付き発生を予知することは困難であることがわかった.クロスヘドピン軸受の振動波形は1サイクルに2回,すなわち軸の揺動方向が反転するクランク角度θc=-90°および+90°近傍で大きな振動(振動スパイク)が発生する特徴がある.潤滑状態が過酷になるとθc=+90°近傍における振動スパイクの増大とその発生頻度が顕著になることがわかった.そこでθc=+90°近傍における振動スパイクの増大とその発生頻度に着目した異常振動発生率の値を用いて異常診断を実施すると,過酷な固体接触が発生した初期段階で潤滑状態の異常性を検知できることが明らかになった.
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Research Products
(1 results)