2004 Fiscal Year Annual Research Report
ボルツマン方程式に基づくマイクロスケール流動現象グリッドレス解法の研究
Project/Area Number |
15560140
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森西 晃嗣 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (20174443)
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Keywords | ボルツマン方程式 / マイクロスケール流れ / 計算流体力学 / 希薄気体流れ / モンテカルロ法 / 分子運動論 |
Research Abstract |
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で代表されるようなマイクロ機器内の流動現象では,流れ場の代表長さと分子の平均自由行程が同程度となるため,ボルツマン方程式に基づく解析が必要となる.ところが,ボルツマン方程式に基づくシミュレーション手法として従来から広く用いられてきたモンテカルロ直接シミュレーション(DSMC)法は,確率論的手法に固有なノイズ(分散誤差)のため,流速が遅いマイクロスケール流れに対しては適用が非常に困難と考えられている.そこで,本研究では,分散誤差を伴わないボルツマン方程式解法の開発を目的として,移流項の評価には柔軟性の高いグリッドレス法を,衝突項の評価には有意な13モーメントまで近似した衝突項モデルを用いたボルツマン方程式解法を新たに構築した.最初に,超音速流れのシミュレーションを行い,新しいボルツマン解法が従来のDSMC法と比較して,信頼性や経済性の点で,勝るとも劣らない事を確認した.次に,マイクロスケール流れのシミュレーションを行ったところ,DSMC法では有意な解析が出来ないような低速流れでも,新しいボルツマン解法を用いることにより容易に解析出来ることを確認した.また,DSMC法の分散誤差を抑えて低速流れへの適用を可能とするIP(Information Preservation)法の研究が現在米国で行われているが,低速マイクロスケール流れのシミュレーションにおける比較から,新しいボルツマン解法はこのIP法よりも信頼性と経済性の点で遥かに優れている事を確認した.さらに,MPIを用いた並列計算コードを作成し3次元流れのシミュレーションを実行した.これらの研究により,MEMSで代表されるようなマイクロ機器内の流動現象に対するシミュレーション手法として,信頼性と経済性において現在のところ最も優れたボルツマン方程式解法が確立出来た.
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Research Products
(6 results)