2003 Fiscal Year Annual Research Report
せん断流により誘起されたマクロ凝集構造体を利用した固液混相流の流動抵抗低減
Project/Area Number |
15560146
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
後藤 邦彰 岡山大学, 工学部, 教授 (20215487)
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Keywords | 混相流 / 粒子 / 凝集粒子 / 流動抵抗 / 圧力損失 / 抵抗低減 |
Research Abstract |
固液混相流では、一般に、媒体である液体だけを流動させたときに比べ固体粒子を分散させたときの方が流動抵抗は大きくなる。しかし、ある種の固液混相流では、液体だけのときよりも粒子を添加したときの方が、流動抵抗が低減するという現象が知られている。本研究では、この流動抵抗低減現象を固液混相流体の輸送動力削減に対して、積極的に利用する手法として確立することを目的とする。 本年度は、高分子凝集剤を用いて粒子凝集体を形成し、凝集構造体形成による抵抗低減発現条件の特定することを目的とした。そのため、テスト流路を製作し、水を媒体とした固液混相流に高分子凝集剤を添加し、流動抵抗の指標である圧力損失の測定を行った。 高分子凝集剤には、アニオン系粉末凝集剤(アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合体)およびポリアクリルアミド(粉末状)を用いた。試料粒子には、球状のポリスチレン粒子(粒子径10μm)および非球状アルミナ粒子(粒子径4μm)を用い、粒子濃度を1vol%または10vol%とした。 高分子凝集剤濃度を変えて種々の流量で圧力損失測定を行った結果、高流量域で水だけの圧力損失よりも固液混相流の圧力損失が低くなる凝集剤濃度が存在することが明らかとなった。また、高分子水溶液(=粒子のない系)での流動抵抗と比較した結果、粒子の存在が高分子の混入により発現する抵抗低減効果を促進することが確認された。この促進効果は、凝集剤種類および粒子濃度ごとに、ある凝集剤濃度範囲で発現する。促進効果が起きる凝集剤濃度での粒子凝集状態を静止流体中で観察したところ、どちらの凝集剤でも、ある程度の空隙を内包するマクロな粒子ネットワーク構造が形成されていることが確認された。このことから、固液混相流の流動抵抗は粒子のマクロ凝集構造に依存すると考えられ、どの粒子でも適切なマクロ凝集構造を形成させれば流動抵抗が低減することが期待できる。
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