2003 Fiscal Year Annual Research Report
氷板の温度・濃度複合融解に現われるサメ肌現象の解明
Project/Area Number |
15560166
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菅原 征洋 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (10042011)
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Keywords | 氷 / 融解 / 水溶液 / サメ肌現象 |
Research Abstract |
塩化カルシウム水溶液中で水平氷板が上面から融解する場合に現れる融解面の凹凸挙動,すなわちサメ肌現象を本年度(平成15年度)の申請主設備品である現有の粒子画像速度計(PIV)の機能を上げる「高解像度撮影装置」を用いて検討した結果,次のような知見が得られた. 氷板が水溶液中で融解する場合,濃度の拡散速度が極端に遅いことから融解面近傍で急な濃度勾配が現れる。この濃度勾配による浮力が渦状の濃度差対流を誘発する。濃度拡散層が極めて薄いことから,結果として現れる渦は大変小さい.この小さな渦が融解面に接するとき局所的な濃度勾配の差異から融解量に差が生じて無数の凹凸すなわちサメ肌現象が融解面に現れるのである. PIV観察において融解面上に直径2mm程度の渦を明確に捉えた.この渦は定置に留まらず時間の経過につれて変動する.時には渦が消滅することもある.この渦は融解面の上3mm程度の範囲に現れるが,この渦の上の溶液層に乱れた大きな濃度差対流が現れ,2重構造になっていることが観察された.融解面上の小さな渦の流れ挙動は,この上の大きな対流の影響を受けて刻々と変化していくのである.PIV観察によって,この小さな渦の平均的な速度の定量的な測定が可能であり,毎秒1〜3mm程度の比較的に遅い速度であった.本研究のPIV観察は一応3次元を目指していたが,レーザー光源の幅が小さかったため十分な3次元観察ができず課題を残した.
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