2003 Fiscal Year Annual Research Report
液体ナトリウムを用いた原子炉冷却技術の金属熱処理プロセスへの応用
Project/Area Number |
15560167
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
奈良崎 道治 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (00091950)
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Keywords | 焼入変形 / 焼割れ / 残留応力 / 鋼熱処理 / シミュレーション / 液体ナトリウム / 冷却特性 / 熱伝達率 |
Research Abstract |
熱処理変形の抑制と残留応力の制御に有効な新しい熱処理プロセスとして,原子炉冷却に用いられる液体ナトリウムを冷却剤として用いる「ナトリウム浴焼入れプロセス」を考案し,その有効性と実用性を明らかにするために,本年度は焼入れ実験と数値シミュレーションによる解析を実施し,以下の結果を得た。 1.銀円柱試片のナトリウム浴焼入れ時の冷却曲線を測定し,冷却時の熱伝達特性の定量的把握を行った。その結果,高温域においてはナトリウム浴の温度にかかわらず,高い熱伝達率を示し,低温域では,浴温に近づくにつれて急激に熱伝達率が低下することを確認した。 2.沸騰性液体の油や水による焼入れと比較すると,非沸騰性の液体ナトリウムは冷却むらのない均一急冷を実現できることを確かめた。 3.高温に加熱した鋼試片をナトリウム浴焼入れしたときの冷却曲線を実測し,液体ナトリウムによる冷却特性,すなわち高温域における均一急冷とマルテンサイト変態域における緩冷が,鋼部品の焼むらや焼割れおよび焼入変形の抑制に有効であることを実験によって確認した。 4.液体ナトリウムの高い冷却能と高温域における均一急冷を実現できる冷却特性が,鋼部品表面に圧縮残留応力をもたらすことを確かめた。 5.液体ナトリウム浴焼入れプロセスの数値シミュレーションにより,高温域における均一急冷及び低温域における緩冷を実現できる冷却特性が,鋼部品の変形を抑制し,同時に鋼表面近傍のマルテンサイト変態時に圧縮応力を生じる結果,焼割れの抑制や圧縮残留応力の生成を結果することを確認した。
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