2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロSMESの分散配置による電力系統の統合的制御方策に関する研究
Project/Area Number |
15560241
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大沢 靖治 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026294)
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Keywords | マイクロSMES / 系統安定化 / 過渡安定度 / 最適制御 / ダブーサーチ / 評価指標 / 情報通信網 / 遠隔地信号 |
Research Abstract |
電力への依存度の増大に伴って電力の安定供給の維持が不可欠となっており、系統安定化の重要性が増している。超電導エネルギー貯蔵装置(SMES)は有効電力、無効電力の両者を高速かつ独立に制御することが可能で、高頻度の充放電に耐えられるため、電力系統の安定化や電力品質の改善が有望な用途として実用化が期待されている。本研究は、同一のマイクロSMESを複数台設置し、それらを情報通信網を介して有機的に結合して系統安定化に利用しようとするものである。 今年度は、比較的小規模な例題系統を対象とし、系統故障に対する過渡安定度の向上を目的としてSMESを導入する場合において、最適なSMESの配置、ゲインをタブーサーチにより求める手法の検討を行った。検討においては位相角偏差、角速度偏差を考慮した評価指標を定義し、また、効果的なSMESの制御を行うために遠隔地信号を用いた制御系を導入して、ローカル信号のみを用いた制御系との比較を行った。その結果、1.例題系統において、SMESの設置により位相角の第一波動揺のピーク値の抑制、その後の動揺の減衰の改善が達成できた。 2.位相角動揺を評価指標として最適化を行った場合、遠隔地信号を用いた制御系では第一波動揺後に短周期の動揺が生じることが判明した。 3.評価指標に角速度偏差を考慮することによって、第一波後の位相角動揺が抑制されることが明らかになった。 4.位相角偏差と角速度偏差を適切に考慮した評価指標を用いることにより、ローカル信号のみを用いた制御よりも遠隔地信号を用いた制御の方が、高い動揺抑制効果が得られた。 上記の検討で、遠隔地信号を用いた制御においては、すべての発電機の情報が利用できるものと仮定した。次年度は、通信コストも考慮した最適な制御について考察するとともに、じょう乱として風力発電の出力変動等も考慮する予定である。
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