2004 Fiscal Year Annual Research Report
磁気部分ヒステリシス損失との連成制御による分散電源用インバータの高効率化
Project/Area Number |
15560251
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 敏久 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (30254155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 圭二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00326018)
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Keywords | 磁気部分ヒステリシス / インバータ / チョッパ / 分散電源 |
Research Abstract |
本研究はインバータ等の半導体電力変換装置で使用される磁性材料の損失発生特性とインバータの変調動作とを練成解析することにより、インバータ効率を総合的に改善し、将来の半導体電力変換装置の超高電力密度化を実現するための基板技術を確立することである。本年度の研究は、昨年度までの実績を踏まえて、(1)部分ヒステリシス特性の効果的な記述方法の確立、(2)チョッパ回路におけるリアクトル損失の最小化制御方式、(3)PWMインバータのフィルタリアクトル損失の算定手法の開発、に関する研究を行った。これに関する研究成果は以下のように要約される。 1.部分ヒステリシス特性の効果的な記述方法の確立 インバータやチョッパ回路などに使用される電力用リアクトルが矩形波電圧の条件下で発生する部分ヒステリシス損失は、磁束変動幅(ΔB)、磁界強度変動幅(ΔH)、および磁界強度バイアス(H_B)をパラメータとして記述できることを明らかにした。さらに、磁性体毎に、ΔBを縦軸、ΔHを横軸、H_Bをパラメータとする損失マップを作成し、以下に述べる各種変換装置での損失算定に応用した。 2.チョッパ回路におけるリアクトル損失の最小化制御方式 降圧形直流チョッパのリアクトルについて、上記損失マップを用いて損失評価を行うことにより、リアクトルと変換回路の損失が最小になる運転条件が存在することを見いだした。また、この方法に依れば、従来のチョッパ用インダクタを大幅に小型化出来る可能性があることも示した。 3.PWMインバータのフィルタリアクトル損失の算定手法の開発 PWMインバータの場合、出力電流の瞬時値が正弦波状に変化するため、フィルタリアクトルの磁性体に生じる部分ヒステリシスの軌跡が閉ループを形成せず、したがって、その面積を計算することは困難であった。本研究では、これを閉ループに近似して面積を算定する手法を考案し、その値が前述の損失マップの値と良く一致することを示した。さらに、これを用いてPWMインバータの出力周期全体に対して、フィルタリアクトルの損失を算定できることを示した。 次年度は、これまでの損失算定手法とPWMインバータの変調制御を錬成した損失最小化制御手法を開発し、本研究の目的を達成するとともに、本研究全体のとりまとめを行う予定である。
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Research Products
(3 results)