2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁気部分ヒステリシス損失との連成制御による分散電源用インバータの高効率化
Project/Area Number |
15560251
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 敏久 首都大学東京, 都市教養学部・理工学系, 教授 (30254155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 圭二 東京工業大学, 理工学研究科, 助手 (00326018)
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Keywords | インバータ回路 / チョッパ回路 / 磁気ヒステリシス損失 / 分散電源 |
Research Abstract |
インバータ用途で使用される磁性材料の損失発生特性とインバータの変調動作とを連成制御することにより,インバータ効率を総合的に改善する新しい手法の研究を行い、下記の成果を得た。 1.インダクタの部分磁気ヒステリシス基礎特性の計測技術の確立:チョッパ回路の平滑インダクタやインバータ回路のフィルタインダクタの鉄損に関して、鉄芯磁束密度の挙動特性の詳細な計測に基づく基礎特性を定量的に計測・評価した。チョッパ回路およびPWMインバータ回路におけるインダクタの磁性鉄芯部分の磁気部分ヒステリシス特性の新しい計測方法を開発した。すなわち、直流チョッパ回路の平滑リアクトルの鉄芯磁性体のB-H平面上の部分ヒステリシス曲線の計測を行い、ここから鉄損が計測出来ることを示した。さらに、インダクタの鉄損と巻線抵抗に起因する銅損との分離測定手法を開発した。 2.部分磁気ヒステリシス特性の厳密な計測技術とロスマップ法による損失表記:岩通計測(株)製のB-Hアナライザ(SY8232)を改造し、チョッパ回路の運転信号とB-Hアナライザの計測信号を同期運転する新しい測定手法を開発した。また、精密な磁束密度検出と磁界強度検出を目的として、計測電流の厳密な遅れ補償の検討を行い大幅な改善を実現した。B-Hヒステリシス面積が非常に小さな電界鉄粉コアの部分ヒステリシス曲線をB-H平面上に正確に描くことができ、精密鉄損計測を実現した。B-H平面上での磁束変化量ΔB、磁界強度変動量ΔH、および磁界強度バイアスH0をパラメータとする、新しい損失表記方法として「ロスマップ法」を考案し、チョッパ用インダクタの鉄損算定が極めて簡便かつ正確に行えることを実験により検証した。さらに、上記ロスマップ法の原理を拡張して、PWMインバータ用のフィルタインダクタの部分ヒステリシス曲線の計測手法を考案した。 3.変調方式との連成によるチョッパ回路、インバータ回路の効率改善:直流チョッパ回路における、パルス幅制御とインダクタ電流ヒステリシス制御について、詳細な損失評価を行い、インダクタ損失が最小で変換効率が恒に最高の状態になる、新しい連成制御方式を考案し、理論計算と実験によりその有効性を示した。さらに、PWMインバータについて、4種類の代表的な変調制御方式とACフィルタのインダクタ損失との関係を考察し、連成制御による変換器の高効率化の技術的見通しを立てた。 4.フライバック形小容量系統連系インバータにおける高効率化制御:フライバック変圧器のような磁気エネルギー蓄積を伴う変圧器の損失評価にも有益であることを明らかにした。本研究成果の適用を検討し、フライバックインバータの磁気エネルギー蓄積方法を改良することにより、電力変換効率の大幅な改善が行えることを示した。
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Research Products
(6 results)