2004 Fiscal Year Annual Research Report
2段階気相合成法による窒化ガリウム粉体への発光中心形成と蛍光体応用
Project/Area Number |
15560270
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原 和彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (80202266)
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Keywords | 窒化ガリウム / 粉体 / 気相合成 / 蛍光体 / フォトルミネッセンス / 発光中心 / 不純物ドーピング |
Research Abstract |
1.粒子成長過程において、Zn原料としてZnS粉末を用いることにより、2段階気相法におけるGaN:Zn粉体の合成を達成した。ZnSの供給量は、キャリアガス種(N_2、HCl)および流量を変化させることにより、広い範囲で精密に制御することが可能となった。これにより、Zn濃度が1×10^<19>〜8×10^<20>cm^<-3>の試料を合成することができた。一方で、Zn濃度とほぼ同程度のSも、試料に混入していることことがわかった。 2.合成したGaN:Zn粉体は、青色のフォトルミネッセンスおよびカソードルミネッセンスを示した。スペクトルは、Zn発光中心に特有の450nm付近をピークとするブロードなバンドなる。この発光のZn濃度依存性を詳細に調べ、Zn濃度が1〜2×10^<19>cm^<-3>付近で最も強い発光を示すこと、Zn濃度が増すに従い発光波長が長波長側へシフトする傾向を明らかにした。 3.GaN:Znの発光特性が、アンドープ試料と同様に、粒子成長過程におけるNH_3分圧に強く依存することを見出した。NH_3分圧が0.78atmまでの範囲では、分圧が高いほど強い発光が得られた。 4.ZnSに替えて金属ZnをZn原料に用いることにより、試料の発光特性および結晶性が大幅に向上することがわかった。この結果より、Sの混入が試料特性を悪化させる要因であることがわかり、今後の特性改善の指針を示した。 5.赤色発光を示すEuのドーピングをEuS、EuCl_3を原料に用いて試みたが、原料が問題なく供給されているにもかかわらず、試料中には取り込まれなかった。これは、EuとGaの結合半径の差が大きいためと考えられことから、より非平衡に近い粒子成長過程を実現できる新しい原料系の選択が課題として残された。
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