2003 Fiscal Year Annual Research Report
室温走査型ホール・プローブ顕微鏡用ビスマス薄膜ナノ・ホール・プローブ素子の作製
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15560271
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
SANDHU ADARSH 東京工業大学, 量子効果エレクトロニクス研究センター, 助教授 (80276774)
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Keywords | ホール素子 / 磁区 / 量子サイズ効果 / SHPM / 磁気記録媒体 / 永久磁石 / 強磁性体 / 班金属材料 |
Research Abstract |
次世代の高保磁力永久磁石、超高密度磁気記録技術及び「スピンエレクトロニクス」などの新分野の研究には磁性体に特有の、磁区の観察が非常に重要である。特に永久磁石中の単磁区粒子の磁壁移動および磁気記録媒体中の磁区を高い磁場感度と空間分解能で定量的に評価することが必須である。 研究代表者SANDHU ADARSHは2003年3月にGaAs/AlGaAs系半導体マイクロ・ホール・プローブを有する室温走査型ホール・プローブ顕微鏡装置の開発を行ない、世界に先駆けて0.8μmの高空間分解能で、かつ室温での磁区の観察に成功した。GaAs/AlGaAs系半導体マイクロ・ホール・プローブに存在する表面空乏層のために微細化が約0.8μmまでに制限された。この微細化の制約を克服する方法として、空乏層を形成しない半金属であるビスマス(Bi)の物性に着目し、空間分解能向上の可能性を確認した。すなわち、市販されているBi粉を用いて真空蒸着で多結晶薄膜をGaAs基板上に形成し、次に集束イオンビーム加工技術により寸法120nm x 120nmの世界最小サイズのホール・プローブ素子を作成した。 今後さらに性能を向上する必要があることが判明した。磁気感度はBi薄膜の電子移動度に比例するためBi薄膜を単結晶化する事で移動度約20,000cm2/Vsを達成し、高感度高分解能RT-SHPMを実現する。 平成15年度に研究した項目は(1)多結晶Bi薄膜を格子不整約3%のBaF_2基板上に蒸着し、X線回折およびvan der Pauwホール法で加熱後のBi薄膜を評価をしました。(2)加熱によるBi多結晶薄膜の移動度が向上することが分かりました。(3)加熱条件をArガス雰囲気及び真空中、250-260℃、2-5時間でのアニールを試みました。(4)これらの実験により、高移動度Bi薄膜が形成される条件は真空中、255℃、4時間であるとわかりました。(5)低温の電気的評価により、移動度が7倍向上することがわかりました。これは高性能なナノ・ホール素子の作製に重要な結果である。 平成16年度の研究予定は初年度得られた成果を元に、Biナノ・ホール・プローブ素子を光露光技術と集束イオンビーム技術を複合した作製工程を用いて、微細な50nmのBiナノ・ホール・プローブ素子の作製する。同素子を用いたRT-SHPM装置の実証実験を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Sandhu et al.: "Room Temperature Scanning Micro-Hall Probe Microscopy under Extremely Large Pulsed Magnetic Fields"IEEE Transactions on Magnetics. 39. 213-215 (2003)
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[Publications] A.Sandhu et al.: "Nano and micro Hall-effect sensors for room-temperature scanning hall probe microscopy"Microelectronic Engineering. (accepted for publication). (2004)