2006 Fiscal Year Annual Research Report
大電力高周波窓での帯電の温度依存性と沿面放電抑止のための帯電最小化に関する研究
Project/Area Number |
15560286
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization (KEK) |
Principal Investigator |
道園 真一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 研究機関講師 (80249903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 芳男 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (00141979)
小林 信一 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40008876)
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Keywords | 二次電子放出 / 帯電 / セラミック / 表面粗さ |
Research Abstract |
これまでの結果から、アルミナセラミックの二次電子放出の温度依存性、純度依存性、表面粗度依存性が明らかになってきている。表面粗度に関しては、表面の粗いセラミックの方が絶縁特性にすぐれているという報告があり、また、レゾナントリングを使った大電力試験でも、表面が鏡面の材料よりも粗い材料の方が優れているという結果が得られていた。これらのことから、材料の表面粗さが与える二次電子放出や帯電の違いについて測定及び考察を行った。その結果、鏡面研磨(平均粗さが0.1μm以下)試料では、入射確度依存性が見られたのに対し、表面粗さが粗い材料(平均で1μm程度の粗さ)では、一次電子の入射角度依存性が見られなかった。これまで我々が使っていた実材料では、表面が粗い材料に相当するが、この場合は垂直入射の試験による二次電子の評価方法が妥当であることが確かめられた。また、入射エネルギーが1keV程度に低くなると入射角度依存性が見られにくくなった。一般に入射確度依存性は、二次電子が表面に到達するまでの実効距離が入射角により変わることで説明されるが、入射エネルギーが低い場合は一次電子の侵入深さが十分浅いためほぼ全ての二次電子が表面に到達できるためと解釈できる。 また、いくつかの材料について、実際にレゾナントリングを用いて大電力試験を行う。大電力試験では、マルチパクタによる発光とその原因となる表面欠陥について測定を行う。たとえば、長時間加速器で使用されてきた高周波窓では、表面溶融の際に現れるF中心の酸素欠陥が必ず現れることが確認された。これまでは、レゾナントリングの短時間試験で破壊に至った窓についてF中心を観測してきたが、今回の実験結果は、長時間の高周波通過により、(たとえ通過電力が低い場合でも)徐々に表面の溶融が生じ、破壊の前兆ともいえるF中心の酸素欠陥が現れたと考えることが出来る。
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Research Products
(3 results)