2003 Fiscal Year Annual Research Report
誘電体立体回路で構成される高性能ミリ波フィルタの開発
Project/Area Number |
15560289
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
古神 義則 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (10260473)
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Keywords | ミリ波 / 帯域通過フィルタ / 誘電体共振器 / ウィスパリングギャラリーモード |
Research Abstract |
本年度は、フィルタ構成用誘電体円板共振器の設計に関する検討を行った。低損失性を実現することを目的として、使用共振モードに対しては高いQ値を持たせると同時に、フィルタのスプリアス特性を改善することを目的とし、不要となる一部の高次共振モードのQ値を抑え、その励振の抑制を図ることのできる共振器寸法の決定方法を模索した。その結果、使用する誘電体共振器材料、周波数帯に応じて、最適な共振器寸法および周方向共振次数が、定まることを見いだし、これを手順化した共振器設計手法を確立した。 設計された共振器を用いて帯域通過フィルタを構成し、その低損失性と、設計において抑制を図ったスプリアス応答が、実際に低減されることを確認した。具体的には、中心周波数60GHz、帯域幅200MHzから500MHzの3段帯域通過フィルタを構成し、中心周波数における挿入損失1dB以下を実現した。 また、3つの共振器にまったく同じものを用いる代わりに、使用共振モードの共振周波数のみが一致し、その他の共振モードの共振周波数が一致しないよう、各共振器に異なる寸法、誘電率をもたせた場合、さらにスプリアス特性の改善が図れることを実験により実証した。 最後に、上の検討では排除し切れなかった、他のタイプの不要応答の抑制に取り組んだ。すなわち、励振用誘電体線路にステップ状の周期的不連続構造を持たせ、共振器の不要モードの共振周波数の信号を遮断する帯域阻止特性を付加させることにより、フィルタのスプリアス特性の改善を試みた。 現在まで、本年度導入した計算機を用いたFDTDシミュレーションにより、所望の特性を実現するための励振線路の不連続構造に関する検討を行い、本方式が、スプリアス特性の改善に有効であることを実証し、さらに実験による検証のための準備を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Sato, Y.Kogami, K.Shiraishi, Y.Tomabechi, K.Matsumura: "Design of four-stage millimeter wave BPF using the whispering-gallery mode dielectric disk resonator"IEICE Trans.on Electronics. vol.E86-C, no.8. 1621-1628 (2003)
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[Publications] H.Tamura, Y.Kogami, K.Matsumura: "Improvement of the Relative Permittivity Evaluation with a Whispering Gallery Mode Dielectric Resonator Method"IEICE Trans.on Electronics. vol.E86-C, no.8. 1665-1671 (2003)
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[Publications] 浜野隆能, 森桂一, 古神義則, 松村和仁: "多重結合誘電体円板共振器の結合特性に関する検討"電子情報通信学会技術研究報告マイクロ波. MW2003-124. 9-12 (2003)
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[Publications] 佐藤洋介, 苫米地義郎, 古神義則, 松村和仁: "ミリ波フィルタ用誘電体円板共振器の設計に関する検討"電子情報通信学会技術研究報告マイクロ波. MW2003-156. 27-32 (2003)
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[Publications] 佐藤洋介, 古神義則, 苫米地義郎, 松村和仁: "WGモード高誘電率誘電体共振器を用いたミリ波BPF"電気学会論文誌C. vol.124, no.2. 328-334 (2004)
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[Publications] 佐藤洋介, 古神義則, 苫米地義郎, 松村和仁: "WGモード高誘電率誘電体共振器を用いたミリ波帯域通過フィルタ"平成16年電気学会全国大会講演論文集. 3. 3-S16-9(30)-3-S16-9(32) (2004)