2004 Fiscal Year Annual Research Report
ファイバーグレーティングの加熱経時変化実験とアレニウス解析理論モデル構築
Project/Area Number |
15560298
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
江島 正毅 香川大学, 工学部, 教授 (90325316)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 清 香川大学, 工学部, 助教授 (50198032)
須崎 嘉文 香川大学, 工学部, 助教授 (60206456)
|
Keywords | ファイバーグレーティング / 光ファイバー / ファイバーブラッググレーティング / 熱処理 / 水素ローディング / 紫外線レーザー / 屈折率誘起 |
Research Abstract |
光通信用フィルターデバイスやセンサーデバイス等に広く用いられているファイバーブラッググレーティング(FBG)は、紫外線レーザー光を光ファイバーに照射して作製され、通常、熱処理が施される。この熱処理過程においては、FBG特性の最も大切なパラメータ、すなわちFBG反射波長および反射光強度が変化する。この変化に対しては、FBG作製においては反射波長と反射強度を経験的に予めオフセットさせて作製されていた。本研究では、これらの変化挙動の原因を突き止め、さらにFBG形成の根源の欠陥生成を明確化させることを目標に研究を進め、次の3つの大きな成果を得ることができた。 (1)水素ローディングを施した光ファイバにエキシマレーザー光を照射してFBGを形成しアニーリング工程での変化を追跡し、FBG反射波長の変化は、ローディングされた水素分子がアニーリングによる熱拡散で光ファイバーから抜け出て行くことによることを理論計算と詳細に比較して結論つけた。 (2)FBG反射強度の変化については、Erdoganの理論がよく用いられており、反射型フィルターに用いられる短周期FBGに適用されている報告例は多く見られるが、減衰型フィルターに用いられる長周期FBGに適用された例は見かけない。短周期FBGで透過光強度から反射光強度を求めるErdoganの手法において、減衰光強度に対応させる新しい手法を長周期FBGに適用するために考案して、この方法で実験データを解析して短周期FBGと比較した。その結果、屈折率上昇の根源となる励起準位から導電バンドへの励起の境界エネルギーは、短周期FBGと長周期FBGとで同一であることが証明できた。 (3)最も興味深い実験結果は、短周期FBGで深いFBGと浅いFBGを比較したところ導電バンドへの励起の境界エネルギーは浅いFBGほど小さく深いFBGほど大きいことが分かったことである。この結果はまったく予想しなかった新しい結果で、Erdoganの理論の不完全さによるものか、それとも本当に境界エネルギーが浅いFBGと深いFBGで異なっているのか、他の有識研究者に相談しても、現時点では不明である。我々は実験データにエラーがないことは繰り返し確認している。この結果の実証には、境界エネルギーを直接観測する方法が強く望まれるところで、この点は論文投稿を行って学会に問題提起を行う予定である。 これらの3つの大きな成果のうち、(1)は論文投稿を完了し、(2)と(3)は、現在、論文投稿準備中である。とくに(3)に関しては、FBG生成の根源に絡むため、境界エネルギー観測方法をさらに検討して行きたい。
|
Research Products
(5 results)