Research Abstract |
ウェアラブル無線情報端末の人体の形状と動作に着目した人体との一体化の実現が大きな課題である.このとき,無線部アンテナの装着位置は,アンテナ放射特性の面からだけでなく,人体の形状や動きによる干渉が受けにくい箇所の同定も重要であり,これらのパラメータはウェアラブルアンテナ設計にとって欠かせないものである.さらに,人体の無線部装着位置においては電磁波が吸収されるので,人体における電磁吸収量,すなわちSAR(Specific Absorption Rate)規制の法制化に伴い,人体防護の立場からSARの低減化も要求される.こうしたことから,本年度の研究では,アンテナ装着ノート型PCに着目し,人体数値モデリング技術とFDTD(Finite Difference Time Domain)数値解析技術を組み合わせることで,5GHz帯アンテナ装着位置による放射特性と人体SAR特性を解明し,ウェアラブル情報端末の無線アンテナの設計に有用なデータが提供できた.昨年度で機能の向上を図ったコンピュータ・マネキン・ソフトウェアを用いて,リアルな人体使用状態を作成し,それを元に生成した人体数値モデルに対して数値解析を行った結果,PC側面装着アンテナの放射パターンは,人体の存在で人体方向へ最大20dB,キーボード上に置いた両手で斜め上方向へ約10dBほどそれぞれ減衰すること,ピークSARは,キーボードの入力時にアンテナ側の手に生じるが,入力作業を行わないときにはアンテナ側の胸にシフトし,いずれも安全指針レベルを超えないこと,などが確認できた.さらに,こういう種類のアンテナに対しては,手がアンテナ特性とSAR両方に対して与える影響が大きく,人体動作の干渉を受けやすいこと,その代わりに胴体部装着時のアンテナは人体動作の干渉を受けにくく,安定した放射特性が得られることを明らかにできた.
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