2004 Fiscal Year Annual Research Report
送電線鉄塔基礎の引揚による滑り線形成に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15560421
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 清宏 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50168126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 成一郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70344702)
山川 優樹 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (80324010)
尾崎 利行 九州電技開発株式会社, 技術開発室, 主任研究員
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Keywords | 送電線鉄塔 / 引抜き試験 / 傾斜地盤 / 弾塑性有限変形解析 / せん断帯形成 |
Research Abstract |
本研究では、下記の3点を当初の目的とした。 ・送電線鉄塔基礎の引抜試験による、滑り線生成のメカニズムの解明 ・滑り線生成を再現できる3次元・大変形・弾塑性有限要素解析システムの開発 ・鉄塔基礎の形状や地盤傾斜角度と破壊形態・強度との関連の解明 送電線鉄塔基礎の縮尺モデルの風荷重による引抜試験を地盤傾斜角度0度、25度、35度に対して行い、その荷重変位曲線と地表面における滑り線の形状を求めた。実設計でも用いられるポスト継ぎの採用により、傾斜地盤の鉄塔基礎のほうが水平地盤よりも高い引き上げ抵抗力を示した。 滑り線生成を再現できる3次元・大変形・弾塑性有限要素解析システムを開発した。このとき、塑性モデルとしては、関連流動則と非関連流動則の両者を用い、その性能を比較検討してみた結果、非関連流動則を用いるほうが実験結果にはるかに近い解析結果を得ることができた。 水平・傾斜地盤の3次元解析を行い、実験結果との比較を行った。その結果、水平地盤に対しては対数らせん状の局所化領域を表現でき、地盤の傾斜角度の変化に伴う、引揚げ強度の変化を表現できた。また、鉄塔の基礎体の回転が発生していることを明らかにできた。 最後に、現位置における引き揚げ試験のシミュレーションを行った結果、本解析システムにより、その荷重変位曲線や地表面における滑り線の形状を概ね再現できることが判明した。 今後の研究課題としては、より高精度な引揚挙動予測の実現のために、(1)解析プログラムの改良(2)土の非均質性の考慮が挙げられる。プログラムの改良については、基礎の支持力や引揚問題における地盤の特徴である進行性破壊を表現する必要がある。土の非均質性を考慮した解析については、弱面の考慮、場所によりばらつきの大きい材料定数の影響の評価などが考えられる。
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