2004 Fiscal Year Annual Research Report
日中韓交通社会資本計画の策定に向けた地域計量モデルの開発
Project/Area Number |
15560459
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥田 隆明 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (40233457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 良嗣 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00133091)
森杉 雅史 名古屋大学, 環境学研究科, 助手 (00314039)
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Keywords | 東アジア / 交通社会資本 / 地域間産業連関表 / 応用一般均衡モデル |
Research Abstract |
本研究では、日中韓3力国を対象とした地域計量モデルを開発することを目的としている。日本モデルについては既に開発が完了しているため、昨年度は中国における地域間産業連関表を作成すると同時に、中国を対象とした応用一般均衡モデルの開発を行ってきた。今年度は、1)韓国における地域間産業連関表を作成し、2)韓国を対象とした応用一般均衡モデルの開発に取り組んできた。また、3力国の地域計量モデルが完成した後、そのリンクモデルを開発するために、3)この3ヶ国を含むアジア国際産業連関表の推計を行った。 1)韓国における地域間産業連関表の作成 韓国では韓国開発研究院が1995年の地域間産業連関表の作成を行っている。海外共同研究者との協力により、1995年の地域間産業連関表や1985年の地域経済統計等を入手し、これらを用いて1985年の地域間産業連関表の遡及推計を行った。そして、1985年表と1995年表を比較することによりこの時期に韓国で実施された地域格差是正策、例えば、(1)首都圏と中部・西南部を結ぶ高速道路の整備や、(2)中部。西南部における工場団地の整備等が、韓国の地域経済構造をどのように変化させたのかについて事後分析を行った。 2)韓国における地域計量モデルの開発 1)で推計した1985年の地域間産業連関表を用いて、韓国国内を15地域に分割した応用一般均衡モデルの開発に着手した。1)で行った事後分析の結果、韓国国内では、(1)機械をはじめとする組立型産業は首都圏の周辺部(中部・西南部)で生産を伸ばしたこと、しかし、(2)サービス等では逆に首都圏への集中が進んだこと等が明らかになったため、首都圏への産業立地が生産財の多様性を向上させ、これがさらなる産業立地を促進させるメカニズムを組み込んだ応用一般均衡モデルの提案を行った。また、1)で作成した地域間産業連関表を用いてこのモデルのキャリブレーションを行った。 3)日中韓3ヶ国を含むアジア国際産業連関表の作成 日本、中国、韓国を含むアジア国際産業連関表についてはアジア経済研究所が5年毎にその推計作業を行っている。しかし、このアジア国際産業連関表は公表されるのが遅いと言う問題点を持つため、比較的早期に公表される国際統計を用いてこれを速報推計する方法を開発した。また、これを用いて2000年におけるアジア国際産業連関表を作成し、1995年から2000年の間にアジアの地域経済構造がどのように変化したのかを明らかにした。
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