2003 Fiscal Year Annual Research Report
低濃度広域型アンチモン汚染の現状と健康リスクの評価および汚染対策に関する研究
Project/Area Number |
15560475
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Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀内 将人 大同工業大学, 工学部, 教授 (00157059)
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Keywords | アンチモン / 河川 / 土壌 / PRTR / 物理化学的存在形態 / APCDT抽出法 / 動態評価 / 毒性評価 |
Research Abstract |
今年度の研究によって得られた主な成果を以下に要約する。 (1)環境省からPRTRのデータを入手し,アンチモンを使用し,大気・公共用水への排出量が報告されている事業所を愛知県内でピックアップした。ピックアップされた事業所は,岡崎市の日本エステル(株)と刈谷市の戸松冶金(株)の2社であった。両事業所からの排水が流入している川の河川水および大気への排出が報告されている日本エステル(株)の敷地境界および周辺公園において土壌を0〜2,2〜10,10〜20cmの3層に分けて採取し,分析試料とした。 (2)河川水については,戸松冶金に関しては,河川水中アンチモン濃度が上昇する傾向は見られなかった。一方,日本エステルに関しては,排水の流入によって河川水中アンチモン濃度が水質環境基準旧指針値(2μg/L)の約5倍まで上昇していることがわかった。さらに,APCDT抽出法により河川水中アンチモンを3価と5価に分離定量した結果,還元状態の強い箇所では3価が支配的であり,排水口付近では毒性の低い5価が支配的になることを明らかにした。 (3)土壌に関しては,事業所敷地境界および事業所から約100m離れた公園において,1N塩酸抽出法による濃度が自然界値(0.13〜0.91mg/kg)を20倍程度超過する値を検出した。敷地から200m以上離れた公園では自然界値を上回る濃度は検出されなかった。 (4)精製水抽出法による抽出液中アンチモンの酸化数別濃度をAPCDT法を用いて定量した結果,毒性の高い3価のアンチモンは高々13%であった。 (5)アンチモン濃度が高い公園では,Cu,Cd,Ni,Pb,Crも高濃度で検出された。これらの重金属は当該事業からのPRTRには排出報告がないため,汚染源が他にある可能性も否定できない。
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