2003 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートの空隙の形態およびその分布観測のための技術開発とその応用
Project/Area Number |
15560486
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 享二 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (40016829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 博之 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (40313374)
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Keywords | コンクリート / 空隙分布 / ガリウム圧入法 / 3次元画像 / EPMA / 透過性 / 水セメント比 / 連続性 |
Research Abstract |
本年度は、提案したガリウム圧入法を用いてコンクリートの空隙構造を可視化する方法を開発したとともに、コンクリートの3次元的空隙構造の解明と空隙画像を適用しての物質透過性の評価を試みた。得られた研究成果は下記の通りである。 (1)コンクリートの空隙部分に圧入したガリウム分布をEPMAで面分析することにより、空隙の分布を画像として観察する手法を開発した。 (2)提案したガリウム圧入法を用いて、コンクリート内の空隙の形態が材齢の進行および水セメント比、養生法の違いに伴い空隙構造が変化することを明らかにした。 (3)本研究で提案した空隙量の計算方法によって空隙率が材齢の進行に伴い減少していくことを、画像で証明することができた。 (4)ガリウム圧入法によって得られた空隙の2次元断面画像を積み重ねることにより、3次元空隙構造を構築する手法を提案した。これら測定法を適用することで、水セメント比および材齢の変化を3次元的な空隙構造で観察することを可能とした。また3次元画像測定から得られた空隙率は、ほぼ水銀圧入法によって得られた測定結果と同様の空隙分布を示すことを確認できた。 (5)本研究で得られた画像を元に求めた空隙の連結性を定義することで、空隙の連続性を評価することができた。また、これら画像で評価する手法を用いて、水セメント比が高いほど、また材齢が若いほどその連続性は高く、結果として透過性が高くなる傾向を示すことを明らかにした。 (6)ガリウム圧入法によって得られた画像からコンクリートの拡散係数を推定する手法を提案した。他の手法により求めたコンクリート内を透過する塩素イオンの移動速度と、本研究で提案した方法により求められた拡散係数を比較し、同様の傾向を示すことがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 申英珠, 田中享二, 宮内博之: "コンクリート壁体のセパレーター部の液体透過性と細孔構造"日本建築学会構造系論文集. 第571号. 1-6 (2003)
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[Publications] 胡桃沢清文, 田中享二: "硬化セメントペーストの空隙構造から見た塩化物イオン移動"日本建築関東支部研究報告集. 第73回. 17-20 (2003)
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[Publications] 申英珠, 田中享二, 宮内博之: "施工時の温度・湿度環境がモルタルの打足し接続部に及ぼす影響"日本建築学会構造系論文集. 第567号. 13-18 (2003)
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[Publications] 芝良太, 申英珠, 田中享二: "コンクリート壁体のセパレーター部の水密性(その1 セパレーターの設置位置と水セメントの影響)"日本建築学会大会学術講演梗概集. A-1. 887-888 (2003)
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[Publications] 申英珠, 田中享二: "コンクリート壁体のセパレーター部の水密性(その2 セパレーター下側の細孔構造と透過量との関係)"日本建築学会大会学術講演梗概集. A-1. 889-890 (2003)