2003 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバセンサによるFRP構造接合部の損傷モニタリング
Project/Area Number |
15560492
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
山田 聖志 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50134028)
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Keywords | 繊維補強ポリマ / 光ファイバセンサ / 損傷モニタリング / 振動計測 / FRP構造 |
Research Abstract |
本研究では,近年開発された最新のブラック格子型光ファイバセンサを利用して,長寿命型建設構造FRP接合部の損傷をモニタリングするシステムとその計測特性を解明することを通して,ブラック波長をもととした歪値だけでなく,ブラック波の時刻歴特性から得られる光パワースペクトルを計測するという,新しい合理的な長期観測型の構造健全性センシング法の確立を目的としている。本年度は,まず,FRP構造接合部を対象に,微小クラック進展で生ずる歪分布の不均一性を,ブラック格子型光ファイバセンサでモニタリングすることで以下のことを明らかにした。(1)ブラック波長を計測して歪値に換算する方法を確立し,その値が従来の電流式歪ゲージによる出力値と良く一致することを明らかにした。(2)ブラック波の時刻歴をオシロスコープによりデジタル量で計測し,それを光パワースペクトルとしてグラフ化する具体的な方法を確立した。(3)このスペクトル形状の特性と荷重値との関係を分析し,ブラック波形の形状変化の計測という従来の力学実験で得られなかった種類のデータが,歪値という従来型のデータに加えて,損傷を評価する上で極めて有用であることを考察した。(4)大地震や台風を受けて構造物が振動している状態をモニタリングすることの可能性については,本研究で採用したブラック格子型光ファイバセンサは高精度かつ応答性に優れていることを確かめることができ,地震や台風の作用振動数域では十分に安定した計測が行えることを明らかにした。しかし,FRP構造への適用では,FRP材料の損傷メカニズムがマイクロクラックの飽和現象にあるため,被災した後の損傷の有無に関する同定には適さないことがわかったが,比較のために実施した鋼構造部材では,損傷が材料の塑性化に起因するため,損傷の履歴を記憶・保存することができることを示唆した。
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