2004 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上の地震国における組積造建物の耐震性能向上と補強法の開発研究
Project/Area Number |
15560496
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
黒木 正幸 大分大学, 工学部, 助手 (10295165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 健児 大分大学, 工学部, 教授 (50117397)
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Keywords | 開発途上国 / 地震災害 / 組積造 / 耐震補強 |
Research Abstract |
本研究の目的は,開発途上国において地震に強い安全な住環境づくりのため,中南米諸国の組積造建築に多用されている枠組組積造壁体(粘土焼成れんがまたは空洞コンクリートブロックにより構成される無補強の組積造壁体周辺を現場打ち鉄筋コンクリート造の柱と梁部材等で補強する構造方式で,同様の方式が現代の中国でも採用されている地域がある)を採り挙げ,ローコストで耐震的な組積造壁体の開発を行うとともに,地震国である開発途上国に多数存在している無補強の既存組積造建物に対する有効な耐震補強法の開発を行うことである。 本年度は壁体内の配筋方法を異にする実大の約1/2スケールを有する枠組組積造の3次元H形試験体に対して行った2方向水平加力実験の結果から,1)無補強組積造とれんが壁体内に補強筋がない枠組組積造壁体では,大変形時に壁体交差部において縦方向のひび割れ幅が大きくなるが,れんが壁体内に補強筋を有する場合はそれがかなり抑制される,2)RC拘束柱の有無は最大耐力の向上に影響を及ぼす,3)れんが壁体内に水平補強筋と中国式の連結筋を配筋することは,れんが壁体の変形性能の向上に有効であることなどがわかった。また,2方向載荷と1方向載荷による実験結果の比較を行った結果,4)2方向載荷を受ける壁体は1方向載荷を受ける壁体よりも最大耐力が低くなる,5)一方,変形性能は2方向に載荷の場合が1方向に載荷の場合よりも若干高いか同程度であることなどもわかった。 さらに,本研究室で今まで行ってきた枠組組積造壁体の水平加力実験により得られた壁体のせん断終局強度と5つの既往のせん断強度算定式との対応について検討した結果,既往の算定式によるせん断終局強度計算値は実験値を過大評価する傾向があったが,富井,江崎氏により提案された耐震壁の半理論式による計算値と実験値の比の平均値が最も1に近く,平均的な評価を与えることなどがわかった。
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Research Products
(4 results)