2004 Fiscal Year Annual Research Report
構造物のヘルスモニタリングデータに基づく損傷同定解析システムの構築
Project/Area Number |
15560499
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
登坂 宣好 日本大学, 生産工学部, 教授 (00059776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 龍司 職業能力開発総合大学校, 建築工学科, 助教授
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Keywords | 5層フレームモデル / 塔状トラスモデル / ブレースモデル / 損傷同定解析 / フィルタリングアルゴリズム / ヘルスモニタリングシステム / 固有振動数 / 観測誤差 |
Research Abstract |
塔状構造物としての5層フレーム構造モデル,塔状トラスモデルおよびフレーム構造にブレースが設置されたブレースモデルを対象としてフィルタリングアルゴリズムを逆解析手法とする損傷同定解析が行われた.逆解析にあたっては,まず各モデルに対し,任意の層もしくは1部材に剛性低下を仮定し,固有値計算から算出した固有振動数のみを観測データとするシミュレーション逆解析を行うことにより,ウィナーフィルタ,射影フィルタおよびパラメトリック射影フィルタに基づくアルゴリズムの特性と各構造物への適応性について検討した.その結果,観測誤差を比較的大きく設定すると,ウィナーフィルタを用いた場合には推定誤差共分散行列がフィルタリング計算の安定性に寄与し,多くの繰り返し計算を必要とする.射影フィルタは初期値の設定がフィルタリング計算に影響を与えるが,数回の繰り返し計算で損傷の同定が可能である.これらに対し,パラメトリック射影フィルタは正則化パラメータと考えられる値にフィルタリング過程は依存し,この値によってウィナーフィルタもしくは射影フィルタの特性に類似することを明らかにした.これらの特性を把握したうえで,実験モード解析をヘルスモニタリングシステムとする手法から得られた観測データである固有振動数と観測誤差を用いた損傷解析がフレームモデルおよびブレースモデルに対して行われた.加振方法にはインパクトハンマー加振を用い,入力と応答加速度からなる周波数応答関数に基づきモーダルパラメータを算出したが,観測誤差を得るために繰り返し加振実験を行った.その結果,実験モード解析に基づくヘルスモニタリングシステムから得られた固有振動数に対する観測誤差は極めて小さく,この場合各フィルタの特徴が生じにくいことを示した.繰り返し計算アルゴリズムとしての各フィルタの特性は観測誤差共分散行列に依存していることを逆解析結果から明らかにした.
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