2003 Fiscal Year Annual Research Report
果実核廃棄物を利用した浄化・吸着機能を有する建材開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
15560504
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
輿石 直幸 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (00257213)
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Keywords | 果実核 / 廃棄物 / 炭化 / 活性炭 / 環境浄化型建材 |
Research Abstract |
本研究は、缶詰などの食品加工業からの産業廃棄物として焼却あるいは埋立て処分されている果実の核(種)の、建材としての有効利用を目的としたものであり、その開発・実用化に向けた基礎研究を行った。平成15年度は、電気炉を用いて桃果実核を炭化し、その温度条件が炭化物の性質に及ぼす影響について検討した。なお、若手研究(B)(実施:平成13年度〜平成14年度、課題番号:13750546)においても同様の検討を行っているが、平成15年度では、温度条件を細分してさらに詳細な分析を行った。実験結果の概要を以下に示す。 炭化度の指標である炭素/酸素含有比は、真密度、質量減少率および絶乾密度との間に直線的な関係があり、これらの特性値が簡易的に炭化度を推定するための指標となり得ることを見出した。 水銀圧入式ポロシティーメーターにより細孔径分布を測定したところ、細孔直径100nm以下の微細孔の容積については、比較的低温の300〜500℃で炭化した場合において細孔量の増大が顕著であった。空気汚染物質の浄化・吸着に有効な細孔の直径は100nm以下とされており、浄化・吸着機能の賦与には300〜500℃の温度範囲での炭化が有効であると予測される。そこで、メチレンブルーの吸着量を測定したところ、400〜600℃で炭化した場合において吸着性能が向上し、市販の備長炭と同等の性能を有することがわかった。 果実核および炭化果実核について圧壊強度を測定したところ、果実核については、モルタル・コンクリートの骨材として、人工軽量骨材に匹敵する品質を有することを確かめた。しかし、炭化果実核については、炭化によって著しく脆弱となるため、むしろ、上述の浄化・吸着機能に特化した用途開発が有効であり、次年度はこの点を中心に実験を行うこととした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 位田達哉, 輿石直幸, 川上勝弥, 赤坂育子, 横山昌寛: "果実核の建材としての有効利用に関する実験的研究 第6報 炭化温度が果実核の基本的性質に及ぼす影響"日本建築学会関東支部研究報告集. 57-60 (2004)