2004 Fiscal Year Annual Research Report
偏心のある在来軸組の木造2階建住宅を対象とした耐震補強前後の振動特性に関する研究
Project/Area Number |
15560510
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
今岡 克也 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (20193667)
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Keywords | 耐震補強 / 木造住宅 / 在来軸組 / 水平起振機 / 固有振動数 / 減衰定数 / 摩擦ダンパー付プレート / 偏心距離 |
Research Abstract |
本研究の目的は2つあり、最初は2階建木造住宅の振動特性(固有振動数・変位振幅比・減衰定数など)を水平起振実験から求め、壁配置から算定される耐震診断の水平抵抗力指標(D×E)や偏心指標(B×C)と比較することである。また2つ目は、木造住宅の耐震補強効果を振動特性値の変化量から評価する方法を探ることである。 研究の最終年度にあたる今年度は、研究代表者が産学協同研究を実施している愛知県西三河周辺にある住宅会社が耐震補強工事を実施した木造住宅の中から、在来軸組構法の2階建木造住宅を約30棟選定し、住宅会社と協力しながら耐震補強前後で水平起振機を用いて加振実験を実施した。また、昨年度と併せて、72棟の2階建木造住宅について、耐震補強と振動特性値の変化量について関係を求めた。 耐震補強前の実験結果と住宅の耐震診断結果と対応させて、以下の知見が得られた。 1.1981年までに建てられた在来軸組構法の2階建住宅は、屋根を「非常に重い屋根」「和瓦と葺土」「和瓦のみ」「スレートなど」の4種類、外壁を「金属張り」「サイディング」「モルタル塗り」の3種類に分類すると、1階各方向の水平抵抗力指標(D×E)との固有振動数は良い正の比例関係が得られる。 2.住宅を屋根別に分けて固有振動数を比較すると、同じD×Eでも重い屋根ほど固有振動数が低い。 3.住宅を外壁別に分けて固有振動数を比較すると、同じD×Eでもモルタル塗りは、金属張りやサイディングより固有振動数が高い。 住宅の耐震補強方法と補強前後の実験結果と対応させて、以下の知見が得られた。 1.1階の耐力壁を新設または改築した場合には、その方向の固有振動数が高くなる。 2.1階の独立柱等の端部をプレートにより梁と固定させても、その方向の固有振動数が高くなる。 3.1階の独立柱等の端部を摩擦ダンパー付プレートにより梁と固定させると、その方向の減衰定数が増加する。
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