2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560536
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
金 貞均 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10301318)
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Keywords | 分散居住 / ネットワーク居住 / ライフスタイル / 家族意識範囲 / 儒教思想 / 東アジア / 高齢者 / 非血縁ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は調査範囲を韓国に広げ、第一、東アジア文化圏の居住の共通性(ネットワーク居住)を明らかにすること、第二、ネットワーク居住からみた住宅と住み方の日韓比較を通して国別居住特性を解明することを目的とする。東アジア文化圏の居住の共通性を明らかにするために前年度の韓国の都市調査に引き続いて、今年度は韓国の山村地域を対象に訪問調査を実施した。調査内容は、山村地域の家族の分散居住実態(同居・非同居家族、家族意識範囲)、ネットワーク居住の実態(非同居子供・親族世帯との分散距離、援助・交流関係、今後の居住志向)、住宅と住み方(間取りと使い方、住宅の機能・役割、住み方)、隣人との関係などである。調査地域は韓国南の全南光陽市玉竜面、鳳岡面、順天市黄田面の過疎集落(16)で、合計158世帯に対して1世帯30分程度の時間をかけ聞き取り調査及び住宅調査を実施した。住宅調査の目的は、高齢に伴う住生活上の問題を明らかにするためである。調査分析の結果、山村集落における高齢化の進展と高齢者一人暮らしまたは夫婦のみの暮らしが多く、日本の山村地域(四国地方)と似たような問題を抱えていることが分かった。なお、集落立地によって登山客や夏の旅行客を受け入れる集落と純粋に水田や畑などの農業を行う集落とでは住宅と生活環境の状況が異なり、孤立し消滅しかけている集落もみえてきた。しかしそういう集落の場合、集落民の結束は大変強く、一人暮らしの高齢者の面倒を集落全体でみる様子が伺えた。なお、住宅はボイラー式の暖房や台所・トイレなどの改善が別居の子どもの支援で行われるケースが多く、こうしたハード面の支援を親孝行として捉えている。しかし、伝統的民家のままの世帯もみられ、急傾斜など劣悪な周辺環境とともに居住問題も多い。 今回の調査では同族集落の存在など、親戚や隣人関係に基づいたネットワーク居住の形成が著しく、引き続き大都市部の調査により韓国におけるネットワーク居住の特性を解明し、日韓比較を試みていきたい。
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Research Products
(3 results)