2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560556
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉田 鋼市 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60111704)
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Keywords | アール・デコ / 近代建築 / ラテンアメリカ |
Research Abstract |
1.平成15年度は、メキシコシティを現地調査した。現在、この調査で得られた成果をとりまとめ中である。 2.メキシコシティのみでは、未だ確たることは言えないが、ラテンアメリカにおいても、ヨーロッパ、アメリカ、アジア諸国と同じようにアール・デコの建物がいくつも見られる。しかし、ラテンアメリカは世界のアール・デコにおいて、一つの特殊な意味をもつ。すなわちラテンアメリカはアール・デコの意匠の素材の一つともなったとされるマヤ・インカ・アステカなどの建築文化の地である。そのアール・デコに素材を提供した地で、アール・デコがどのように出現しているかというのが本研究の主たる課題である。マヤやインカの造形は、アール・デコに採り入れられて世界中に流布し、メキシコでは、それが1920-30年代の最新のスタイルとして再び採用された。アール・デコは、ナショナリズムと結びついて、各地の伝統的な意匠を採り入れているが、メキシコにおいては、アール・デコの造形がむしろ伝統的な造形と考えられた可能性もある。 3.特に注目されるのがPalacio de Bellas Artesの玄関ホール部分の造形である。これは当初国立劇場として1904年に建てられ始めたものが、途中の中断を経て、Federico Mariscalによって1934年に完成されたものである。Mariscalによるその玄関ホールは、世界的にも希に見る濃密なアール・デコの造形であり、Mariscalが最新の流行に応じたのか、それともプレコロンビアンの伝統を意識したのか、非常に興味深い課題だと考えている。
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