2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560556
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉田 鋼市 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60111704)
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Keywords | アール・デコ / 近代建築 / ラテンアメリカ |
Research Abstract |
1.平成16年度は、サンティアゴ・サンパウロ・リオデジャネイロ・ブエノスアイレスの4都市を現地調査した。 2.このうち、サンパウロとブエノスアイレスにはアール・デコの建築が少ない。それは前者の都市の主たる発展が戦後であり、後者のそれが1920年代以前ということに基づくものであろう。それに対して、サンティアゴとリオデジャネイロにはかなり多くのアール・デコを見ることができた。それはこの2都市では、1920〜30年代にも活発な造営活動が続いていたことを物語るものであろう。またラテンアメリカのアール・デコはその登場が遅く、それ故にか1940年代もアール・デコが出現し続けている。 3.ラテンアメリカにおけるアール・デコの波及は、独立100周年に基づくナショナリティの表現を意図した側面もある。アール・デコの造形にはもともとマヤやアステカの造形が採り入れられているが、それをラテンアメリカ諸国はナショナリティを表現する手段と見たのである。つまり、アール・デコはラテンアメリカで一種の先祖帰りをしたのであり、それが最も興味あるテーマであったが、調査の結果は、ラテンアメリカ諸国のアール・デコが特段に特色あるものとは残念ながら見えなかった。ただし、リオデジャネイロのイタイビル(1932年)には、アメリカ原住民と思われる像の表現が見られた。 4.調査の成果の一部は拙著の一部で公表したが、残余の研究成果をとりまとめ中である。
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