2005 Fiscal Year Annual Research Report
町家形式の風土決定論に対する批判的再検討-金沢・仙台城下を事例に-
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15560561
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
波多野 純 日本工業大学, 工学部, 教授 (40049721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 憲治 日本工業大学, 工学部, 助手 (30337513)
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Keywords | 東海道分間延絵図 / 五街道分間延絵図 / 町家 / 屋根葺材 / 土蔵造町家 |
Research Abstract |
平成17年度には、『五街道分間延絵図』のうち、「東海道分間延絵図」(東京国立博物館蔵)に描かれた町家の屋根葺材に着目し、瓦葺の普及範囲の把握と、その地域性を明らかにした。また、北関東における土蔵造り町家について調査を実施した。 「東海道分間延絵図」に描かれた、瓦葺町家の分布をみると、瓦葺は各城下町に存在したが、町家数に占める割合には大きな差がみられた。『宿村大概帳』に示された人口数と比較すると、比例する傾向が高い。いっぽう、宿場町では、瓦葺の分布に格差がみられ、城下町同様に人口数と比例する傾向がある。また、城下町に近い宿場町は、瓦葺の割合が高い。以上のように、瓦葺町家は人口の多い城下町に分布する傾向が明らかになった。また、瓦葺は城下町から街道に沿って周辺の宿場町へ普及した。以上の成果は、2005年日本建築学会大会にて発表した。また、逓信総合博物館に『五街道分間延絵図』の副本が所蔵されており、「東海道分間延絵図」「中山道分間延絵図」について東海道大学建築学科小沢研究室と合同で調査した。 また、北関東(茨城県土浦市・桜川市・結城市、栃木県栃木市)における土蔵造町家の調査を行った。これらの地域では幕末から明治期に江戸・東京から広まったとされる様式、いわゆる「江戸型」の土蔵造町家が多く存在している。調査の結果、それぞれの地域によって細部に差異がみられた。また、北関東以外の喜多方(福島)・村田(宮城)あるいは三浦半島にも江戸型の店蔵が存在することから、必ずしも江戸・東京から広まったのではなく、文化的伝搬経路や都市政策(防火政策)など様々な要因が複合的に影響しているものと考えられる。
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Research Products
(2 results)