2004 Fiscal Year Annual Research Report
九州北部に於ける近世の伝統的木造建築大工の作風とその伝幡方法の研究
Project/Area Number |
15560566
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 正彦 九州産業大学, 工学部, 教授 (80098772)
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Keywords | 神社建築 / 寺院建築 / 棟札 / 作風 / 江戸時代 / 大工 / 大工文書 / 九州 |
Research Abstract |
1.平成15年度に引き続き、大工棟梁佐藤左之策の作品である大分県九重町に鎮座する右田日吉神社と小園皇大神宮及び浄明寺本堂と宝円寺本堂の詳密な調査研究を進めた。 右田日吉神社と小園皇大神宮本殿については、平成16年度日本建築学会大会学術講演会にて次のような結果を発表した。1)身舎木鼻は絵様であるが、向拝水引虹梁木鼻は抜彫(波文)で似ている。2)建具は蔀戸を用いる。3)身舎組物は右田日吉神社本殿が拳鼻付き出組、小園皇大神社本殿が拳鼻付き出三斗である。 浄明寺本堂と宝円寺本堂については、平成16年度日本建築学会九州支部研究報告会で、次のような結果を発表した。1)身舎正面と内陣・余間の側柱は角柱。外陣及び内陣内部は円柱とする。2)身舎正面と外陣両側に台輪を付ける。3)内・外陣境にも台輪を付ける。4)身舎正面に透し彫りの欄間を付ける。5)矢来の間を設け、内・外陣境は中柱をたて、内陣は3間に分ける。6)内・外陣境は無目敷居、鴨居を付け、諸折り格子戸をたてる。7)軒は2軒、角・繁垂木である。8)向拝両端は海老虹梁で身舎柱と繋ぎ、中柱上は手挟を付ける。9)向拝組物は連三斗を用いる。10)外陣の架構法、斗帚、中備などの手法が似ている。 結論として、大工棟梁佐藤左之策は水流と鯉の彫物を得意として多用していることと、その伝播は九重町の神社拝殿が妻入りが多いので、筑前国を源としていると推測される。 2.調査研究を進めていくうちに収集した、下関市立長府博物館所蔵の大工河村家文書の解読を進め学内研究報告に発表した。 3.調査研究を進めていくうちに、江戸時代の大工棟梁豊後原浦牧彦兵衛の子孫が大分市在住であることをつきとめ日本建築学会論文報告集に「近世神社本殿に付加された花堂」を発表した。
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Research Products
(2 results)