2004 Fiscal Year Annual Research Report
古代ギリシア都市メッセネにおけるアスクレピオス神域のストアの復元的研究
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15560568
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
林田 義伸 都城工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (00149999)
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Keywords | 古代ギリシア / メッセネ / アスクレピオス神殿 / コリント式 / 屋根架構 / 設計法 / 比例関係 / 古代尺 |
Research Abstract |
(1)復元案の完成 昨年度の復元案に関し再検討を行い、最終的な復元案を完成させた。これを元に、CADを用いて復元図を描き、オルランドスの復元案と比較検討した。その結果、オルランドスの復元案には、フリーズに施された一柱間に配される牛頭骨と聖杯の数に、明らかな誤りがあることが判明した。また、オルランドスの復元案には、シーマやアンテフィックスが描かれておらず、これを復元案に書き込むことができた。 (2)平面及び立面の設計手順に関する検討 完成した復元案を元に、ストアの設計法に関する分析を行った。その結果、次のことが判明した。 先ず、神殿の建つ中庭を囲むストアの寸法は、8尺を基準寸法(1 unit)とし、スタイロベイト上の長さが、その20倍の160尺として決定された。スタイロベイト上の南北長さは18 unitとされ、144尺として算出されている。また、柱間寸法はスタイロベイトの長さに円柱中心までの長さの2倍が加えられ、東西ストアは22柱間、南北ストアは20柱間とされ、それぞれの柱間寸法が算出された。その結果、東西ストアと南北ストアの柱間寸法には、1.5cmの違いが生じた。 一方、オーダーの各部寸法は、東西ストアと南北ストアの柱間寸法の間の寸法で、古代の尺度で表現可能な寸法が柱間巣法とされ、その柱間寸法との単純な比例関係で導き出されたことが判明した。 この設計過程は、東西ストアと南北ストアの柱間寸法の微妙な相違の理由が説明できると同時に、オーダー各部寸法が柱間寸法との単純な比例関係で決定されることも示しており、極めて合理的な結論であると考えられる。ただ、若干実測寸法と理論値との間に誤差が大きい部分もあり、この建築に使用された古代尺を含めて、更なる検討が必要である。
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Research Products
(1 results)