2003 Fiscal Year Annual Research Report
超イオン導電ガラス中のイオン輸送-中距離構造が果たしている役割の解明-
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15560586
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安仁屋 勝 熊本大学, 理学部, 教授 (30221724)
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Keywords | 超イオン導電ガラス / 酸化物ガラス / カルコゲナイドガラス / 銀カルコゲナイド / 銅ハライド / フラジリティー / 中距離構造 / 第一原理分子動力学法 |
Research Abstract |
超イオン導電ガラスにおいて、中距離構造はイオン輸送現象でどのような役割を果たしているのであろうか。この疑問を解明することが本研究の目的である。本年度は、中距離構造、イオン伝道、過冷却液体の緩和現象といったキーワードを念頭に、ガラスの構造形成とその中でおきるイオン輸送現象について、いくつかの観点から研究を行った。以下にそれを記す。以下の研究の多くはまだ論文の形にはなっていないか、現在投稿中である。研究成果の一部は日本物理学会、固体イオニクス討論会、国際超イオン導電体物性討論会、アモルファスおよび微結晶半導体国際会議などで発表された。 1)AgI-Ag_2O-B_2O_3系超イオン導電ガラス形成液体に、報告者によって以前提案されたフラジリティーの理論を適用し、この系の特徴を取り出し、ガラスの中距離構造との関係を調べた。 2)Ag_2O-B_2O_3系ガラスの、構造の組成依存性と密度依存性を、モンテカルロ法を用いて調べた。 3)イオン導電性酸化物ガラスおよびカルコゲナイド・ガラスの中距離構造を、平均的電気陰性度の観点から調べ、ガラス形成能との関連付けを行った。 4)過冷却液体状態にあるGe-S系の粘性の組成依存性を、フラジリティーの理論を用いて調べた。また、光ドープ現象の起こりやすさとの関連についても調べた。 5)アモルファスAg-Ge-Se系のガラス転移温度の振舞いを、ストカスティック・ネットワークモデルを用いて調べた。 6)液体Ag-Se系で見られるAgの異常な拡散の組成依存性を、報告者によって提案されている二流体モデルを用いて説明した。 7)超イオン導電相および液相CuIの構造と電子状態を第一原理分子動力学法によって調べた。また、銅ハライドにおける有効電荷の圧力依存性についても調べた。 8)液体Rbの構造の密度依存性を第一原理分子動力学法により調べた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Aniya, J.Kawamura: "A Three Phase Model for the Medium Range Structure and Ion Transport Properties in Superionic Glasses"Mass and Charge Transport in Inorganic Materials II, eds.P.Vincenzini and V.Buscaglia (Techna, Faenza). 191-198 (2003)
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[Publications] F.Shimojo, M.Aniya: "Diffusion of Mobile Ions and Bond Fluctuations in Superionic Conductor CuI from ab initio Molecular-Dynamics Simulations"Journal of the Physical Society of Japan. 72・11. 2702-2705 (2003)
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[Publications] F.Shimojo, M.Aniya: "Diffusion Mechanism of Cu Ions in Superionic Conductor CuI : ab initio Molecular-Dynamics Simulation"Journal of the Ceramic Society of Japan(Proceedings of Pac Rim 5). in print. (2004)
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[Publications] M.Aniya, F.Shimojo, T.Iseki: "Composition Dependence of Diffusion in Liquid Silver Chalcogenides"Journal of Non-Crystalline Solids. in print. (2004)