2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化空間パターンによる骨類似ポリマー・セラミックス複合体の新規合成法の開発
Project/Area Number |
15560587
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 宏明 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70255595)
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Keywords | 生体材料 / 有機無機複合材料 / リン酸カルシウム / 自己組織化 / 吸水ポリマー / ゲル / 階層構造 / 拡散場 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非平衡な環境を利用したナノレベルからマクロレベルで制御された3次元的な階層的構造を有するポリマー・セラミックス複合材料の新規な合成方法の提案とそれを利用した生体機能性材料の開発である。平成16年度には第2段階として以下の2つの成果が得られた。 第1として、これまでに研究をおこなってきたゲル状マトリックスを反応場とした周期的な空間パターンの形成法を発展させ、ゼラチンゲルを用いることで新規なタイプの構造制御された水酸アパタイトの合成手法を開発した。この方法では、ゼラチンとリン酸水素カルシウム二水和物を経由してナノスケールでパターン化された水酸アパタイトの合成が可能である。反応条件の最適化によって数十ナノメートルスケールの格子状構造、あるいは繊維状構造を持つ水酸アパタイトが作製可能で、新規な構造にもとづく生体活性セラミックス、あるいは吸着剤としての高い機能性が期待される。 第2には、ポリマー・セラミックス複合化の基礎となるゲルマトリクス内における結晶成長についてモデル系を構築して検討をおこなっており、今年度の研究では、ナノスケールからマクロスケールにおける階層的な構造体を自己組織化的に構築されるシステムを見出した。ポリアクリル酸と硫酸カリウムのようなポリマーマトリクスと析出結晶との相互作用が強い系において、種々の結晶成長因子を検討した結果、ナノスケールの結晶子が集積されて数百ナノメートルのユニットが形成され、ユニットがゲル拡散場で集積されることで高次の構造が形成されることが明らかとなった。各階層の構造は環境条件によって独立に制御が可能であり、生物に見られる階層的高次構造の類似体とみなすことができる。これらの基礎的知見は、水酸アパタイトなどのより多くの結晶において実現可能であると思われ、生体セラミックス・高分子複合における自己組織化的構造制御に有益な知見であると考えられる。
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Research Products
(4 results)