2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化空間パターンによる骨類似ポリマー・セラミックス複合体の新規合成法の開発
Project/Area Number |
15560587
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 宏明 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70255595)
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Keywords | 生体材料 / 有機無機複合材料 / リン酸カルシウム / 自己組織化 / 吸水ポリマー / ゲル / 階層構造 / 拡散場 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナノレベルからマクロレベルで制御された三次元的な階層的構造を有するポリマー・セラミックス複合材料の新規な合成方法の提案とそれを利用した生体機能性材料の開発である。15、16年度では、ゲル状マトリックスを反応場とした周期的な空間パターンの形成法を発展させ、新規なタイプのナノ格子状構造、あるいはナノ繊維状構造を持つ水酸アパタイトの合成手法を開発した。最終年度では、ゲルを構成する有機分子が水酸アパタイトの結晶成長に与える影響を検討し、ナノ構造が形成されるメカニズムを検討するとともに、ナノ構造およびマクロ形態のコントロールを試みた。その結果、ゲルマトリクスの密度や均一性の制御によって数ミリメートルのマクロな形態を板状、球状、粒状に制御が可能であり、最終加水分解のpH条件によって数十ナノメートルの繊維状からロッド状までのナノ構造を変化させられた。これらの形態は、歯のエナメル質に類似した構造を持ち、新規な生体材料として期待される。 また、ゲルマトリクス内における結晶成長についてモデル系の検討をおこない、ナノスケールからマクロスケールにおける階層的な構造体を自己組織化的に構築されるシステムについての基礎的な検討を進めた。特に最終年度では、人工系で合成された材料と骨などの生体無機材料と比較をするためのモデルケースとして貝殻の真珠層やウニの棘などのナノ構造を調査し、実際の生体無機材料と類似の階層構造を持つことを確認した。 以上の3年間の研究を通して、ゲルマトリクスを有機分子の特異吸着を利用することで、結晶成長における自己組織化空間パターンを制御し、水酸アパタイトを代表とするさまざまな材料系でナノレベルからマクロレベルにわたって階層的に制御された構造体を作製するための方法論を確立するに至った。さらに、実際の生体無機材料の解析から、人工的な階層構造体と生物由来の構造体の類似性が確認され、自己組織化による新規な生体セラミックス開発のための基礎的な知見が得られた。
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Research Products
(6 results)