2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ゲルマニウムガラスを母体とする白色および緑色蛍光体のゾル・ゲル法による創製
Project/Area Number |
15560590
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小島 一男 立命館大学, 理工学部, 教授 (30131311)
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Keywords | 酸化ゲルマニウム / ガラス / ゾル・ゲル法 / 白色蛍光体 / 緑色蛍光体 / 構造欠陥 / テルビウムイオン / マンガンイオン |
Research Abstract |
酸化ゲルマニウム(GeO_2)ガラスの400-700nmにわたる強い蛍光を示す白色蛍光体をゾル・ゲル法により作製した。また、このガラスは、254nmまたは365nmの波長の励起光を5分間照射すると、中心波長500nmで1時間以上にわたる残光を示した。一方、比較のために溶融法により作製したGeO_2ガラスでは、410nmに弱い蛍光を示したのみであった。ゾル・ゲル法により作製したGeO_2ガラスにはGe^<2+>中心、Ge-OH、CH_3CH_2-、Ge-O-C、GeC、Ge-O-Rなどの構造欠陥や不純物が含まれ、このうちGe^<2+>中心とGe-O-Cとが400-700nmにわたる強い蛍光および残光の原因であると考えられる。すなわち、254nmまたは365nmの励起光によりGe^<2+>中心が励起されて生じた電子により、Ge-O-Cの励起状態が生じ、それが緩和されるとき、400-700nmにわたる蛍光を発するを考えられる。 次に、酸化ゲルマニウム(GeO_2)ガラスに酸化テルビウム(Tb_2O_3)を添加した緑色蛍光体をゾル・ゲル法により作製した。緑色はTb^<3+>イオンの主として542nmの蛍光により生じた。この蛍光は、254nmの波長で励起するとTb_2O_3添加量1mol%のガラスで強度が最大となったが、365nmで励起するとTb_2O_3添加量1mol%のガラスで強度が大きくなったのち減少し、その後、再び増加して、最大添加量5mol%のガラスで最大強度を示した。355nmナノ秒パルスレーザー励起による542nmの蛍光寿命は、Tb_2O_3添加量0.75-2mol%のガラスで長くなった。今後、この蛍光のTb_2O_3添加量依存性についてのメカニズムの解明が待たれる。また、Tb_2O_3添加量5mol%以上のガラスを作製し365nmで励起することで、さらに強い緑色蛍光体が得られるものと期待される。 さらに、Mnイオン含有ZnO-GeO_2ガラスおよびガラスセラミックスをゾル・ゲル法により作製した。このガラスセラミックスを254nmまたは365nmの波長の光で励起すると、535nmに強い蛍光を示す緑色蛍光体となった。この蛍光は、Zn_2GeO_4結晶中に入れられた4面体Mn^<2+>イオンの^4T_1→^6A_1遷移により生じ、結晶性が高くなるほど緑色の強度が強くなった。また、このガラスセラミックスの電子スピン共鳴スペクトルには、Mn^<2+>イオンの多くのサイトからによると考えられる複雑な信号が観測された。 最後に、緑色蛍光体であるEr_2O_3-GeO_2ガラスについて、立命館大学SRセンターのビームライン等を使用して、X線吸収分光法により、ErおよびGeの局所構造を初めて明らかにした。
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Research Products
(2 results)