2004 Fiscal Year Annual Research Report
物質移動の自由エネルギー理論による環境浄化用セラミックス多孔体の製造
Project/Area Number |
15560592
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 英彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, ディレクター (40343868)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広崎 尚登 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主席研究員 (80343838)
西村 聡之 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主幹研究員 (50354428)
|
Keywords | 表面エネルギー / 過剰自由エネルギー / 物質の速度式 / 粒子の変形 / 粒成長 / 結晶転移エネルギー / 多孔体 / 炭化ケイ素 |
Research Abstract |
物質移動の自由エネルギー理論と多孔質焼結体の関して以下の2項の研究実績をあげた。 1.新しい物質移動の自由エネルギー理論の定式化とその応用 (1)表面が駆動する拡散の速度式 固体の物質移動(拡散)が固体の表面エネルギーに駆動される場合、従来の理論では表面曲率の逆数に原子のポテンシャルエネルギーが比例すると仮定した。これに対して、1)固体の表面エネルギーは表面に局在化しており、2)曲率は内部に影響を及ぼさない、3)表面エネルギー自体が系の反応過程を駆動する、と仮説をたてた。これを定式化すると反応速度=(原子のジャンプ頻度)x(計測ユニット)x(過剰エネルギー)となる。この式から、表面エネルギーが駆動する物質移動速度(拡散)式は(拡散速度)=(拡散係数)x(拡散面積/拡散距離)x(過剰エネルギー)が導出できる。この式は、濃度勾配がある場合はフィックの第一拡散式に一致することを明らかにした。 (2)速度式を応用した粒子の変形の解析 歪な粒子は表面エネルギーが最小の球粒子にいずれ変形していく。この過程を、新しい拡散式によって定式化して解析した。その結果、歪な粒子は、歪さ(アスペクト比)、拡散係数と表面エネルギーに比例して変形しやすいことがわかった。 2.多孔体を製造するための粒成長制御 セラミックス多孔体を製造するためには粉末成形体の粒成長のみを高温で起こさせる必要がある。一般に粒成長は表面エネルギーによって駆動される。しかし、同時に緻密化も駆動する。物質移動の自由エネルギー理論から、結晶の転移エネルギーは粒成長のみを駆動することがわかった。これを、SiC材料に応用することを試みた。2種の異なる結晶形のSiC粉末成形体を高温で処理すると、低温型の結晶は転移をおこし、著しく粒成長をした。この発見から、環境浄化用セラミックス多孔体の製造に関するガイドラインが得られた。次年度は実際にSiC多孔体の合成研究を行う。
|
Research Products
(2 results)