2005 Fiscal Year Annual Research Report
物質移動の自由エネルギー理論による環境浄化用セラミックス多孔体の製造
Project/Area Number |
15560592
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 英彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, ディレクター (40343868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広崎 尚登 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主席研究員 (80343838)
西村 聡之 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主幹研究員 (50354428)
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Keywords | 理論 / 自由エネルギー / 拡散 / 粒成長 / 速度式 / 炭化ケイ素 / 多孔体 / フィルター |
Research Abstract |
1.セラミックス多孔体の製造 系が過剰な自由エネルギーを持つとき、任意現象の速度が自由エネルギーに比例すると仮定し、個体の物質移動速度式は拡散係数、平均拡散断面積/拡散距離、過剰なエネルギーに比例するとした。これを粉末粒子の成長に応用して実証的に解析した結果、セラミックスの粒成長は表面エネルギーと結晶転移エネルギーに駆動されることが明らかになった。そこで、結晶系の異なる2種の炭化ケイ素の複合粉末を焼結すると、結晶転移を利用した粒成長が起こり、気孔率約50%で気孔径が10μm程度の多孔体が製造できた。合成材料はディーゼルエンジン排ガス黒鉛粒子の除去用フィルター(DPF)に最適で利用できる。ディーゼル車はヨーロッパでは既に主流で排ガス浄化に多量の炭化ケイ素DPFが用いられている。日本でも将来ディーゼルエンジン車が普及することは間違いなく、炭化ケイ素DPFの巨大な市場が拓ける。 2.多孔体製造に関する基礎理論の解明 前年度に構築した自由エネルギー拡散速度理論から、粒成長速度式を組み立てると、表面エネルギー駆動では速度が(粒径)^<-3>に、転移エネルギー駆動では(粒径)^<-2>に比例する。すなわち、セラミックス粉末成形体を焼結する時に起こる粒成長は、粒径の小さい初期では表面エネルギーに、粒径が大きくなると転移エネルギーに支配される。言い換えると、多孔体製造に必要な大きな粒成長を実現するには結晶転移を利用しなければ不可能である。 本研究で開発した理論と実証的実験はセラミックス多孔体の有効な製造原理と技術を提供している。
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Research Products
(1 results)