2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560609
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木谷 晧 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70034395)
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Keywords | 導電性高分子 / エネルギー材料 / 燃料電池用電極触媒 / 耐放射線材料 / 可視光作動光触媒 / 腐食防止 |
Research Abstract |
本研究においては、導電性高分子のエネルギー関連材料としての応用を目的として、(1)燃料電池電極触媒への応用、(2)耐放射線材料への応用、(3)可視光作動光触媒への応用、(4)腐食防止膜への応用、の4項目について、平成15〜17年度の3年間にわたって研究を行う。平成17年度は項目1,2,4について検討を行い、以下の研究成果が得られた。 1.燃料電池用電極触媒としての機能 高性能な直接型メタノール燃料電池の開発を目的として、前年度はカソード触媒の高機能化について検討し、鉄と白金とポリアニリンとの複合触媒が有望であることを明らかにした。今年度はアノードでのメタノール酸化反応に注目し、白金/ポリアニリン電極にスズなどの卑金属を共担持した電極について詳細に検討した。スズを共担持した複合電極はメタノール酸化においてより高い活性を示し、白金/スズ/ポリアニリン修飾電極の有用性が明らかとなった。銅やニッケルなどの10種類の卑金属についても同様の検討を行なった。いずれの場合でもポリアニリン修飾電極が高い活性を示したが、検討した卑金属の中で最も高いメタノール酸化活性を示したのはスズであった。本研究によりポリアニリン修飾電極が高性能メタノール燃料電池の開発において極めて有望であることが明らかとなったが、これはメタノール酸化における吸着した中間体とポリアニリンとの相互作用に起因すると考えられる。 2.耐放射線材料としての機能 導電性高分子の耐放射線材料としての機能評価を目的として、ポリアニリンにガンマ線を照射した場合の分子量の変化について詳細に検討すると共に、放射線照射に対して最も安定であるといわれているポリスチレンとの比較を行なった。高い線量のガンマ線照射により、ポリアニリンでは分子量がわずかに減少したが、ポリスチレンでは架橋による分子量の増加が観測された。分子量の変化する速度はポリアニリンの方が遅いことから、ポリアニリンは汎用高分子と比較してはるかに高い耐久性を有し、耐放射線材料として極めて有望であることを明らかにした。 4.腐食防止膜としての機能 導電性高分子の持つ電気化学的防食機能と、通常の高分子の持っ表面保護機能の両方を兼ね備えた新しい腐食防止膜の開発を目的として、トリアジンジチオールを有するアニリン誘導体の防食機能について検討した。誘導体の電解重合膜でもかなりの防食機能を有していたが、その上にさらにポリアニリンを析出させた膜では腐食速度の著しい低下が観測された。このような挙動は腐食速度の評価方法や溶液の種類にかかわらず観測され、誘導体の重合膜とポリアニリンとの複合膜は腐食防止膜として極めて有用であることを見出した。
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