2004 Fiscal Year Annual Research Report
優れたプレス成形性を有する超ハイテンTRIP薄鋼板の開発とその遅れ破壊特性
Project/Area Number |
15560624
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉本 公一 信州大学, 工学部, 教授 (50094272)
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Keywords | 超高強度鋼板 / TRIP鋼 / 残留オーステナイト / 成形性 / 水素脆性 / 遅れ破壊 / ベイニティックフェライト / 温間加工 |
Research Abstract |
1.超ハイテンTRIP鋼のNb添加による高強度化 (1)ベース鋼を0.2C-1.5Si-1.5Mn鋼としたとき,NbとMoの複合添加は引張強さを100〜200MPa高めることができた.また,全伸び及び伸びフランジ性と引張強さのバランスを高めることができた,さらに,最適オーステンパー処理温度を溶融亜鉛めっき処理温度以上に高めることができた. (2)これらの結果は,Nb-Mo複合添加により組織微細化が図れ,これに伴い残留オーステナイ(γ)の炭素濃度の減少が高温オーステンパー処理ですら小さかったことから説明された. 2.超ハイテンTRIP鋼の温間成形 (3)200〜300℃の温間成形により超ハイテンTRIP鋼の金伸びは2倍以上に増加した.一方,50〜100℃の温間加工でも全伸びは増加したが,その効果は比較的小さかった.前者は残留γのひずみ誘起ベイニティック変態と動的ひずみ時効,後者はひずみ誘起マルテンサイト変態からもたらされた. (4)伸びフランジ性に対して,温間加工の効果は50〜100℃のみで現れた,この理由については,現在検討中である. 3.超ハイテンTmp鋼の遅れ破壊特性 (5)0.5%程度のAl添加は,遅れ破壊特性を高めた,さらに,NbとMoを複合添加することにより,遅れ破壊強度は著しく高められた.一方,2.5%以上のMn添加は遅れ破壊強度を著しく低くした. (6)Al添加は残留γへの水素の吸蔵を促進し,粒界破壊と擬へき開破壊を防ぐ効果があると予想された. 4.まとめ (7)上記の知見に基づき,某製鉄会社で980MPa級及び1470MPaのTRIP冷延鋼板を試作し,従来超ハイテン鋼板よりも成形性と遅れ破壊特性を有することを実証した.この成果は2004年7月15日にプレス発表し,日本経済新聞(2004年7月16日版)などに掲載された.今後は,更なる特性改善を目指す予定である.
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Research Products
(7 results)