2004 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス超耐食バルク合金溶射皮膜の生成とそのナノ組織化した皮膜の特性
Project/Area Number |
15560627
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大坪 文隆 九州工業大学, 工学部, 助手 (10243982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸武 勝彦 九州工業大学, 工学部, 教授 (40029880)
恵良 秀則 九州工業大学, 工学部, 助教授 (00127987)
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Keywords | 非晶質 / 溶射皮膜 / 高速フレーム溶射 / ナノ組織 / 耐食性 |
Research Abstract |
本年度は,初年度得られた非晶質皮膜の焼き戻しにより生成するナノ組織の構造を詳細に調べ,さらに得られたナノ皮膜に対して,酸性環境に対する耐食性を評価し,超耐食ナノ皮膜としての可能性を追求した. Fe-10Cr-10Mo-2C-8P(A合金),Fe-16Cr-30Mo-4C-2B(B合金)およびFe-16Cr-30Mo-2C-1B-7P(C合金)すべての合金皮膜において,X線回折パターンから,A合金の皮膜は、フェライト、M_<23>C_6およびM_7C_3炭化物およびM_3Pからなる皮膜となり、B合金の皮膜は、フェライトおよびM_<23>(C,B)_6およびM_7(C,B)_3炭ホウ化物からなる皮膜となり,C合金の皮膜は、フェライト、M_<23>(C,B)_6およびM_7(C,B)_3炭ホウ化物に加えて、リンの添加によるM_3Pリン化物からなる皮膜となることがわかった。B合金のHVOF皮膜を加熱して,丁度結晶化が終了した時の透過電顕写真から,10nm程度の微細粒組織が形成されていることが分かった。電子線回折パターンもリングパターンとなっており,形成された組織が非常に微細であることが示唆された。合金Cの場合は,B合金ほど細かくないがナノ組織を形成していることが分かった。B合金と同様に,形成された組織が非常に微細であるために電子線回折パターンもリングパターンとなっていた。合金CのHVOF皮膜を948Kで100hr保持しても,ナノ組織を維持していることが示された。焼き戻しした皮膜は溶射したままの皮膜と比較して、全ての合金において腐食電位は卑で、電流密度が大きく増加しており、耐塩酸性は劣化していた。しかし,ニッケル基自溶合金皮膜と比較して、腐食電位は貴であり、不動態域の電流密度は低い値を示すことから、自溶合金皮膜よりも耐塩酸性に優れた皮膜であることが分かった。
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